異性装を好んだアスペルガー障害の一例


日本語で、関連論文見つけたので報告。
詳細はネット上なので書きませんが。


異性装を好んだアスペルガー障害の一例
加藤 大慈  石田多嘉子  山田 芳輝

精神科治療学17巻12号 p1541-1546,2002
星和書店/精神科治療学17巻12号 抄録本文


>症例は入院時33歳の男性。
>小2時より母のスカートをはき中学以後セーラー服やネグリジェも着たが,スカートが感触良くスカートだけで気分が落ち着いた。


>異性装はスカートが中心だが、それらはともかく身に付けたいだけで、やはり性転換願望はなく、「時々女子中学生になってしまいたい時はある」と述べることもあったが、それは単に、女子中学生になればその制服を身に付けられるから、という理由にすぎなかった。身に付けたい理由としては、「感触がいい−特にスカートの襞の部分がいい−のと、かわいいから」と答えた。男性に対しての嫌悪感があるのか問うと、しばらく考え、「男性は体が大きいので、小さくてかわいいサイズの服が着られない点では嫌だけど、他に嫌悪感はもたない」と厳密に答えた。女性の身体になりたいか問うと、かわいい服を身に付けることができるメリットについてのみ女性の身体になりたいともいえるが、逆にかわいい服を身に付けられないのだったら、別に女性になりたい気持ちはないと述べた。


アスペルガー障害に異性装を合併した報告はきわめて少ないが,本症例の異性装は性的興奮と無関係で異性の体験享受でもなく,本症例の執着的傾向によると考えられた。


引用以上。
「性的興奮と無関係で異性の体験享受でもなく,本症例の執着的傾向によると考えられた。」という指摘は適切で、妥当な内容の論文と思う。


ただ、アスペルガーに限らず、性的興奮目的でも、(一時的な)性転換願望によるものでもなく、「女性の服はかわいいので着たい」と訴える人は結構いる。
さらに、「かわいい服が似合うように、ホルモン療法をしたい」という人も結構いる。
こうなると、どこまでが性同一性障害なのか線引きは難しくなってくる。