性指向別の性同一性障害3

昨日新潟市でおこなわれる予定だった日本性科学学会は、すでに記したように残念なことに中止になった。
しかし、どうやら、来年の2月12日と13日、東京で代わりに行われることになりそうである。
希望はたぶん縮小されるだろうが、せっかくなので、多くの方に来ていただきたい。

あとは、11月5日の続き。
今日の所ははFTMについても述べている。
しつこいが、ここでいう「同性愛FTM」とは、女性が好きなFTMのことなので要注意。

Transgenderism and Intersexuality in Childhood and Adolescence: Making Choicesより。
以下訳。


同性愛FTMと同性愛でないFTMを比較して研究はわずか一つだけだ。
同性愛でないFTMと比較し、同性愛FTMは、子供時代により強い性別違和を覚え、より女性的なパートナーを好み、感情的嫉妬より性的嫉妬を持ちやすく、性的に積極的で、多くの性的パートナーを持ち、ペニス形成を強く望み、視覚からの性的刺激に関心を持つ。

最近の研究で、MTF,FTMともに、より多数の対象者で、これらの知見の多くが再確認された。
同性愛TSは子供時代より強い性別違和感を覚え、より早い時期に性転換を望む。
同性愛TSは同性愛でないTSと比べて、結婚歴や、異性装による性的興奮経験が少ない。
さらに同性愛TSは、同性愛でないTSと比べて、望みの性により適した容貌を持ち、心理的にもうまくやっている。
しかしながら、追跡調査をしていくと、心理的機能の多くの違いは消失していく。

これらの知見は、TSには違う経過をたどる少なくとも二つのサブタイプがあることを示しているように思われる。
一つのグループは、早い時期より反対の性に一体感を強く持ち、異性装にはまったく性的関心は持たず、同性のパートナーに性的魅力を感じ、早い時期より性転換を望む。
もう一つのグループは、子供時代は比較的、元来の性に一致した行動をとり、異性装に性的興奮をし、異性に性的魅力を持つ。
このグループは、結婚などの元の性別での社会生活を長く試みたあとに、性転換を求める。
心理的にはこのグループは、前者のグループより、有意に不安定だ。
その理由としては、元の性別での役割で暮らしていたからかもしれないし、ほかの理由かもしれない。