マスターベーションの多様性を尊重せよ。

たとえば、昨日の学会で、腟内射精障害のセミナーがあった。
腟内射精障害の原因のひとつとして、布団などにペニスをこすりつける方法でのマスターベーションというのがある。
このことは、何十年も前からすでに指摘はされているが、セミナーでは「最近の若者は、マスターベーションの方法を知らないからだ」とされた。
で、最後には「性教育で正しいマスターベーションを教えるべきだと思う方は手を上げてください」と司会者が述べ、ほぼ全員が手をあげた。
(私の前に座っていたシスター姿の女性は手をあげなかったが)


ぼうっとしていたら、まあもっともで、結構なことかとも思うが。
でもよく考えると。
「正しいマスターベーション」ってなんだ?
手でペニスを軽く握り上下に動かすことを指すのだろうが。
では、布団こすりつけは「正しくない」と。
その根拠は?
すなわち、「将来の性交時に腟内射精しやすい方法が正しく、しにくい方法は正しくない」
ということだろう。
これはすなわち、生殖に結びつかない性行動を異常と捉える、シュナイダー時代の性行動の正常・異常観にほかならない。

現代社会では、マスターベーションは個人的楽しみなのだから、そこに正常異常を持ち込むのは慎重であるべきではないか。
さまざまなマスターベーションのやり方を尊重すべきではないか。
それに、そんなに腟内射精しやすいマスターベーションを推奨したいのであれば、最初から、より腟内の感触に近いとされるtengaを用いることを、手の代わりに薦めるべきではないか。


とまあ、思ったしだいである。