性分化疾患:性別確定「生後1カ月まで」 学会が手引 出生届け出後も可能

http://mainichi.jp/life/today/news/20111016ddm001040060000c.html
性分化疾患:性別確定「生後1カ月まで」 学会が手引 出生届け出後も可能
 外性器などが未発達で男女の区別が難しい性分化疾患の新生児について、日本小児内分泌学会厚生労働省研究班は性別を確定する目標時期を「生後1カ月まで」とする医療者向けの手引を初めてまとめた。戸籍法は出生届の期限を14日以内と定めているが、十分に精査されずに性別判定されるケースがあるため。学会は法務当局の判断を仰いだうえで、期限の延長が可能としている。

 性分化疾患は2000人に1人の発生頻度との調査があり、90年代に解明が進んだが今も十分な知識を持たない医師が多い。子宮も卵巣もある女児が外性器で男と判断され、男性ホルモンを投与されるなど、最低限の検査なしでずさんに性別判定されるケースが後を絶たない。

 手引は染色体やホルモン、遺伝子など必要な検査や、内科と外科それぞれの治療内容を示した。性別確定まで1カ月としたのは、検査結果が出そろうのに14日以上かかる場合があるほか、経験豊富な医師の意見を仰ぐことを求めたためだ。

 戸籍法には出生届の遅延に対する罰則規定がある。同学会は、手引作成時に東京法務局に問い合わせ、医師の証明があれば性別や名前を空欄で出せることを確認。後に必要事項を埋める「追完」という方法で、14日を過ぎた届け出ができるとしている。ただ周知されておらず、医師も親も「14日以内」にとらわれているのが実態だ。

 厚労省研究班のメンバーで手引作成の中心になった堀川玲子・国立成育医療研究センター内分泌代謝科医長は「医学的には男女どちらとも言えない性があるが、『中間の性』という通念はまだない。性の変更を社会が受容する環境も整っていない以上、性別の判定は慎重を期すしかない」と話す。【丹野恒一】(17日朝刊からくらしナビ面で「境界を生きる〜性分化疾患・決断のとき」を連載)

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 ■ことば

 ◇性分化疾患
 通常は男女どちらかで統一されている性器や性腺(卵巣・精巣)、染色体の性がそれぞれあいまいだったり、一致せずに生まれてくる病気の総称。70種類以上ある。「半陰陽」「両性具有」などとも呼ばれてきた。

毎日新聞 2011年10月16日 東京朝刊