解説:性分化疾患「確定」延長 判定の難しさ配慮

http://mainichi.jp/life/today/news/20111016ddm008040096000c.html
解説:性分化疾患「確定」延長 判定の難しさ配慮
 性分化疾患の新生児について、日本小児内分泌学会などは性別を確定する目標時期を「生後1カ月まで」とする手引をまとめたが、今月開かれた同学会では、両親が性別の決定を迷った末、男性と届け出るまでに1カ月半以上かかった事例が発表された。治療の選択肢や成人後の生き方も考えれば、決断が困難になることの表れだ。

 この子は陰茎がない状態で生まれた。それ以外は性腺も染色体も男性型で、医師は男性を選択するのがよいと考えた。

 しかし将来にわたり機能する陰茎の形成が非常に難しく、不完全な外性器で暮らすことを両親が悩み時間がかかったという。

 診断や治療法の指針は「ガイドライン」ではなく、学会はあえて弱い「手引」という用語を選んだ。「現時点の判断が将来も妥当であるかは分からない」(堀川玲子医師)との認識に立ったという。経験豊富な専門家でも性別の判定は難しいが、より長い時間が与えられたことには意味がある。

 手引は私たちにとっても人ごとではない。「性別が分からないはずがない」「性器がはっきりしないのはおかしい」という思い込みが親を追い込んでいることも忘れてはいけない。【丹野恒一】

毎日新聞 2011年10月16日 東京朝刊