177 - 衆 - 予算委員会第三分科会 - 1号 平成23年02月25日

http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_list.cgi?SESSION=28365&SAVED_RID=1&MODE=1&DTOTAL=22&DMY=28507
○井戸分科員 ちょっと時間が少なくなってきたので、ハーグの問題はここまでにして、前原大臣、ありがとうございました。
 次に、AID児、生殖補助医療で出生をする子供たちの問題、これも私はずっと取り組んでまいっておるんですけれども、生殖補助医療を受けて、第三者から精子提供を受けて出生したいわゆるAID児に関して、この戸籍の、出生届、父欄というのはどのような形で書くのが法務省としては正しい出生届の届け方なんでしょうか。ここについてまずお伺いをしたいと思います。
○小川(敏)副大臣 戸籍の受け付けは形式審査でございますので、提出された戸籍が形式に合っていれば受理するということでございます。すなわち、その戸籍に書かれた父親が生物学上本当に父親であるかどうかということを調査することはありません。
 ですから、形式が整っておれば受理するというのが戸籍の原則でございます。
○井戸分科員 私は、性同一性障害の方が同じようにAIDを受けられて、そして出生をしたケースに関して言ったらば、これは正式な婚姻を両親がしていたとしても非嫡出子である、母の非嫡出子で届けろ、父欄は空欄でなければいけないということで、いろいろ調べましたところ、AID児に関しては全部この扱いをするのが戸籍上の扱いであると。
 今、AIDというのはもう六十年も歴史があるんですね。一万人が生まれているんですけれども、このAIDで法務省が求めるのは、本来、父欄は空欄なので、非嫡出子なんですね。ところが、実際には形式的審査なので、嫡出子として扱われている。扱われて嫡出子となっているけれども、AIDに関しては、本来でいえばこれは戸籍訂正が必要な、非常に身分が不安定な状態だというのが法務省の方の見解だと思うんですけれども、ここについてはいかがでしょうか。
○小川(敏)副大臣 あくまでも、書類の形式上の書式で父親、母親と記載されておれば、それは受理するわけでございますが、性同一性障害の場合には、形式的に受理するといっても、父親がいわば生物学上父親たり得ないことが明らかでありますので、届け出を出された書類上、父親でないことが明らかでありますので、やはり、性同一性障害で女性から男性になられた人を父親とする戸籍届は、出された届け上、生物学的に父親じゃないことが明らかなので、嫡出子としては受理できない。
 ですから、例えばAIDであっても、いや、これはAIDなんですけれどもと言ってAIDの証明書か何かをつけて提出されれば、それは受理できるかどうか。あくまでも、形式上整っていれば、それ以上調査してあなたが本当の父親ですかというようなことは確認しないで、形式上そろっていれば受理するというのが実務の取り扱いでございます。
○井戸分科員 ただ、本来であれば、嫡出子と非嫡出子というのは、財産に関しての二分の一規定なんかもありますよね。だから全然違うんです、本来は。なので、法務省の見解からいえば、AID児に関して言ったら、民法七百七十二条の推定が及ばない子、そもそもこれがかからない子なので、性同一性障害の子であろうとそうでなかろうとAIDは同じ扱いをしなければいけないのに、性同一性障害でお子さんが生まれるというケースが出てくるまで、ある意味、子の福祉を考えて、わかっていたけれども、非嫡出子なんだけれども、実はそのまま嫡出子として扱っていたというのが現実のところだと思うんですよ。だから、これが窓口でわかってしまうから、同じAIDという生殖補助医療をしたにもかかわらずそこで差別が出てきてしまうというのは、やはりおかしいことだと思うんですね。
 私、一年前、ここを千葉大臣にお話しさせていただきました。それで、厚労省ガイドラインができないので、何としてでも親子法制を早く改定して、例えば性同一性障害のお子さんたちも嫡出子として扱えるような形にしたいけれども、厚労省の方がなかなかガイドラインを出さないのでそこをさらにプッシュしていくということで、それで実際にもやってくださったんです。それが大体六月ぐらいだったんだけれども、そこから全然とまっているんですね。
 法務省として、さらにこの親子法制、野田議員の出産などもあって、また世論の中でもいろいろと議論があるところだと思うんですけれども、ぜひここは、政権交代をして、我が政権で、子の福祉の観点からも含めて親子法制をしっかりともう一回つくり直すということをやっていかなければいけないと思うんですけれども、ここに関して、いつまで、どのように。
 実際、この性同一性障害のお子さんは無戸籍もう一年以上ですし、その後にも性同一性障害のAID児が生まれていますし、五月にもまた出産をします。親子法制ができないがゆえに、どんどんとこの国では無戸籍のお子さんたちがふえているというような、知りながら何もしていないということは、私はやはり立法の不作為を問われると思います、怠慢を問われると思いますので、ぜひともここのところ、いつまで、どのような形で進めていくのかを、御見解というものを教えていただきたいと思います。
    〔本多主査代理退席、主査着席〕
○小川(敏)副大臣 これは私の考えということで聞いていただきたいんですけれども、こうしたAIDの問題を含めた生殖医療あるいは性同一性障害者の問題、親子関係というものは、やはりこれはきちんとした取り組みをして確かな制度を構築する必要があるということは感じております。
 ただ、それが、戸籍を受理する法務省が戸籍の受理の仕方で解決できる問題ではなくて、やはりもっと広い観点から、そうしたAID、性同一性障害者、そうした親子関係というものを決めて、それを決めていただいたら、その趣旨に沿った戸籍の扱いの事務のやり方を決めるというのが順番じゃないかと思っております。
 そして、生殖医療に関する研究会ですか、これが平成十五年ぐらいからとまっているというのが大変残念なことでありますので、もちろん法務省もその関係する一員でありますから、法務省に全く責任がないということではありませんが、やはり法務省だけでなくて、関係する省庁を踏まえて、そうした親子関係というものをきちんと検討して決めていっていただけたらなというふうに思っております。
○井戸分科員 ありがとうございました。