性同一性障害夫妻への精子提供容認へ 産科婦人科学会

http://www.asahi.com/science/update/0226/TKY201102260446.html
朝日
性同一性障害夫妻への精子提供容認へ 産科婦人科学会
2011年2月26日23時1分

. 日本産科婦人科学会は26日、性同一性障害のため戸籍上の性別を女性から変更した男性の夫妻に対し、他人から精子の提供を受ける人工授精(AID)を認める方針を決めた。法務省が生まれた子どもを嫡出子(ちゃくしゅつし)として認めていないため実施の可否を検討していた。これを受けAIDを中断していた病院は再開する。

 同学会の見解(規則)では、AIDの実施は法律上の夫婦が対象。2007年には、心と体の性が一致しない性同一性障害で性別を変更した男性でも、法的に夫妻になっている場合なら実施は構わない、という方針を出した。

 ところが、こうして生まれた子どもは戸籍では父親が以前は女性とわかるため、「子どもと遺伝的な父子関係にないのは明らか」として法務省が嫡出子と認めないことが昨年、社会的な関心を集めた。

 同学会内でも「嫡出子と認められないのにAIDを実施するのは、子の福祉にかなわないのでは」という意見が起き、実施数が国内で最も多い慶応義塾大病院などはAIDを中断した。

 一方で実施の希望は続き、学会も対応のため法務省に問い合わせた。その結果、嫡出子として届けることや、夫が認知する「認知準正」手続きで嫡出子になることはできない▽嫡出子と近い扱いになる「特別養子縁組」の可否は家庭裁判所が個別に判断する、との回答を得た。

 回答も踏まえ、同学会は子が嫡出子になれない点を十分に説明した上で、それでも希望する夫婦にはAIDを実施して構わない、という方針を決めた。同学会理事長の吉村泰典慶応義塾大教授は「AIDの実施に対して慎重にならざるを得ないものの、実施の拒否もできない」と話している。(大岩ゆり)
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http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110227ddm041040125000c.html
性同一性障害:性別変更夫婦の子、父子関係説明を 「法務省認めず」
 日本産科婦人科学会は26日、性同一性障害を理由に性別を男性に変えた人と女性との夫婦が、精子提供を受けて子どもをもうけたいと希望した場合、男性と子どもの間には法的な親子関係がないことを十分に説明し同意を得るよう、会員に通知することを決めた。

 法務省によると、男性と子どもとの間には法律上の父子関係は認められず、男性は認知もできない。会見した吉村理事長は「法務省の見解が示された以上、実施に際して慎重にならざるを得ない」と話した。【藤野基文】

毎日新聞 2011年2月27日 東京朝刊


http://www.nhk.or.jp/news/html/20110227/t10014324351000.html
NHK

性同一性障害 人工授精慎重に
2月27日 4時39分
性同一性障害の夫婦が、第三者精子を使って人工授精で生まれた子どもが、法律上、夫婦の子と認められない事例が相次いでいることから、日本産科婦人科学会は人工授精を希望する性同一性障害の夫婦には、こうした状況を説明し、慎重に対応するよう会員の医師に求めることになりました。

日本産科婦人科学会は、法的に結婚していれば、性同一性障害の夫婦の妻が、第三者精子を使って人工授精を受けることを認めています。しかし、生まれた子どもは生物学的にみて夫婦の子とはいえないとして法律上の夫婦の「嫡出子」と認められず、戸籍のない状態にあることが去年、相次いで明らかになりました。このため学会で検討した結果、人工授精を希望する性同一性障害の夫婦には、こうした状況を説明するとともに「嫡出子とするには養子縁組する必要がある」という法務省の見解を伝えるなど慎重に対応するよう会員の医師に求めることになりました。学会の理事長を務める慶応大学の吉村泰典教授は記者会見で「去年以降、子どもを持ちたいという性同一性障害の夫婦、数組から相談が寄せられ、うち1組は妊娠中だった。夫婦と生まれる子どものために関連する法律を早急に整備すべきだ」と話しました。