悩み語り交流5年/「チーム紀伊水道」

2009年10月07日
朝日新聞和歌山
http://mytown.asahi.com/wakayama/news.php?k_id=31000000910070004
悩み語り交流5年/「チーム紀伊水道
2009年10月07日
■「尊重しあえる社会に」


 性同一性障害や同性愛などの「性的少数者」たちが交流できる場を作り、互いが尊重しあえる社会を目指そうと活動している自助グループが、和歌山市にある。「チーム紀伊水道」。隔月で交流会を開き、人権啓発のための講演会を企画するなど、少数ゆえに悩んでいる人たちへの門戸を開いている。(増田啓佑)


 グループが発足したのは04年12月。性同一性障害を持つ人たちが集まるネットの掲示板で知り合った和歌山の人たちが、交流会を作ろうと情報交換するようになり、代表の衛沢蒼(えざわそう)さん(39)が活動を始めた。初めはほとんど人が集まらず電話やメールでの相談が主だったが、一昨年の夏ごろから2カ月に一度の交流会を開くようになり、現在は毎回10人前後が参加している。


 交流会は、性的少数者以外の人も参加して、互いの近況を報告したり、おしゃべりをしたりして過ごす。家族にも打ち明けられない人が多いなか、隠さずに話せることで思いを共有し「自分だけじゃない」という安心感を得られる場になっているという。


 衛沢さん自身も性同一性障害を抱える。女性として生まれたが、内面は男性。物心ついた頃から自分は男だという「性別違和」があり、男性ホルモンの注射などの性別適合手術を受けて、現在は男性として生活している。


「昔は『女の子として失格』と考えたこともあったけれど、外見も男になって僕はこれでいいんだと思えて楽になった」


 しかし、社会の無理解を感じることもまだまだ多い。性同一性障害だと話したことで、相手の態度が変わってしまう経験もしてきた。たとえば「性同一性障害」と「同性愛」を混同している人もいる。「言葉の本当の意味を理解する人が増えて、差別のないような社会になってほしい」と望んでいる。


「チーム紀伊水道」の次の交流会は18日午後1時から、和歌山市三沢町1丁目の市中央コミュニティセンターで。参加費は会場代やお茶代として500円。


 また11月7日には、性同一性障害を持つ京都府立高校教員の土肥いつきさんの講演会を開く。午後2時から同市北出島1丁目の県勤労福祉会館プラザホープで。県人権啓発センターの委託事業で、入場無料。


 問い合わせは事務局(073・419・0129)へ。ホームページ(http://kii.gozaru.jp/)でも情報を掲載している。