性同一性障害者特例法改正案が成立

http://www.komei.or.jp/news/2008/0611/11731.html

公明新聞:2008年6月11日
戸籍の性別変更が前進
当事者団体と浜四津代行らが会見
改正性同一性障害特例法が成立
“子なし要件”を緩和
記者会見に臨む(右から)山本さんと浜四津代行、松さん=10日 衆院第1議員会館


心と体の性が一致しない性同一性障害者の、戸籍上の性別変更を可能にする特例法の改正案が10日、衆院本会議で全会一致で可決・成立した。これを受けて同日、当事者団体のメンバーが衆院第1議員会館で記者会見を開き、同法改正を推進してきた公明党浜四津敏子代表代行、松あきら参院議員も出席した。
 2003年7月に成立した性同一性障害特例法では、戸籍上の性別変更について20歳以上で現在結婚していないことに加え、「現に子どもがいないこと」(子なし要件)と規定。これが今回の改正では「未成年の子がいないこと」に要件が緩和された。席上、当事者団体の山本蘭さんは、今回の改正について「今までは子どもがいれば生涯、性別変更ができなかった」と一定の評価をした上で、「未成年の子を持つ当事者は取り残されてしまう」と強調。引き続き、子なし要件の撤廃に取り組んでいく考えを示した。
 浜四津代行は「本来であれば子なし要件は削除した方がいい」と指摘。しかし、性同一性障害に対する社会の誤解は非常に根深いとして、「水面下で苦労してきた。かなり大きな前進だと思う」と述べた。


http://www.nara-np.co.jp/n_soc/080611/soc080611b.shtml
戸籍変更にはまだ障害-改正性同一性障害特例法可決  (2008.6.11 奈良新聞)
   心と体の性が一致しない性同一性障害GID)者の戸籍上の性別変更要件を緩和する改正性同一性障害特例法が10日午後の衆院本会議で全会一致で可決、成立したことを受け、自ら性同一性障害と公表し、特例法改正の活動を続けてきた生駒市の会社員森村さやかさん(47)が10日、県庁で会見した。

 改正特例法は、要件の一つ「子どもがいないこと」(子なし要件)を、子どもが成人していれば性別変更できるよう改められたが、森村さんには10代前半の子どもがいるため対象外。森村さんは要件緩和に一定の評価をする一方、「まだ完全なゴールではなく、もろ手を上げて喜べない。要件の全面撤廃に向けて活動を続けたい」と話した…

 〜この続きは本紙をご覧下さい〜 

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080610-OYT1T00853.htm
戸籍上の性別変更緩和へ、改正法が成立
 性同一性障害者に戸籍上の性別変更を認める要件の一つとなっている「子がいない」ことを「未成年の子がいない」に緩和する改正性同一性障害者性別特例法が10日の衆院本会議で全会一致で可決、成立した。

 「性同一性障害をかかえる人々が、普通にくらせる社会をめざす会」の山本蘭代表によると、医師から診断を受けた性同一性障害者は約7200人おり、約7%に子どもがいるという。このため「子がいないこと」の要件削除を求める声が強く、与党と民主党が改正案を協議してきた。
(2008年6月10日23時15分 読売新聞)




2008.6.11.毎日奈良

http://mainichi.jp/area/nara/news/20080611ddlk29010641000c.html
性同一性障害者特例法:改正案が成立 前進でも、心境複雑 /奈良
 ◇当事者の森村さん「子なし要件」全廃へ活動継続
 性同一性障害者特例法(GID特例法)の改正案が成立した10日、当事者の会社員、森村さやかさん(47)=通称、生駒市=は県庁で記者会見し、「もろ手を挙げてバンザイという気持ちではない。少しでも前へ進んだことは喜んでいるけれど、さみしくやり切れない」と複雑な心境を語った。【高瀬浩平】
 特例法は子どもがいる場合、戸籍の性別を変えることができない「子なし要件」があった。改正によって、未成年の子がいなければ、戸籍の性別を変えることができるようになる。
 森村さんは記者会見にサングラスをかけて出席した。職場の上司は森村さんが性同一性障害の当事者として、活動することに理解を示しているという。それでも他の同僚や関係者、近所の人たちに性同一性障害を抱えていることを告白していない。偏見や差別の影がつきまとっている。
 森村さんは03年7月に特例法が成立した時は「子なし要件」がハードルとなった。今回の改正でも「未成年の子がいないこと」の条件が付いた。義務教育を受けている子どもがいる森村さんは、戸籍の性別を変更できない。
 森村さんは「2回も(当事者が)喜んで出て行く船を見送った。こっちに残る人はどんどん減っていく」と、次の法改正に向けた活動への心細さを打ち明けた。自分の望む性で生きることができるようになった人たちが、活動の輪から離れていくのを目の当たりにしたからだ。
 森村さんは06年11月、奈良家裁に戸籍の性別変更を申し立てたが却下された。「子なし要件は違憲だ」と最高裁まで争ったが棄却された。
 記者会見には、GIDと法律の研究者で森村さんを支援してきた大島俊之・九州国際大教授も同席した。大島教授は「最高裁で負けることが重要だった。司法の手段がないことをアピールして立法的手段に訴える手順だった。生駒市議会や広陵町議会が(法改正を求める)意見書を可決し、地方からわき上がった声が、与野党に届いたのではないか」と一連の活動を評価した。
 森村さんは「性別変更の申し立ては小さなことだと思う。ただ、そういう積み重ねが改正につながったと思う」と振り返った。
 森村さんたちは子なし要件の全廃に向けて活動するつもりだ。大島教授も「少しずつやるしかない。欧米の法に子なし要件はない。日本の法を世界のレベルに近づけたい」と意気込みを語った。
毎日新聞 2008年6月11日 地方版


2008.6.11.サンケイ奈良


2008.6.11読売奈良
改正性同一性障害特例法 生駒の47歳会社員「要件全廃まで活動」=奈良

 心と体の性が一致しない性同一性障害者の性別変更の際、子どもがいる場合は変更できない「子なし要件」を緩和した改正性同一性障害者性別特例法が10日、衆議院で可決され、性同一性障害者の生駒市の会社員森村さやかさん(47)(通称)が県庁で記者会見し、「改正は一歩前進で喜ばしいが、まだ条件の全廃ではなく、両手をあげて万歳とは言えない」と複雑な心情を吐露した。
 今回、改正法では「子なし要件」を「未成年の子どもがいない」と緩和。しかし、10代前半の子どもを持つ森村さんの性別変更には、さらに数年かかることになった。
 「子なし要件」撤廃に向けて、生駒市などに意見書を出すなどの活動をしてきた森村さんは「要件の全廃まで、一生かかってでも活動を続けていきたい」と話している。