Richard A. Lippaという立派な名前の著者による
「Is High Sex Drive Associated With Increased Sexual Attraction to Both Sexes? It Depends on Whether You Are Male or Female」（性欲が強いと両性に魅了を感じるか? それは男女によって違う）
という論文が興味深い。
Psychol Sci. 2006 Jan;17(1):46-52.
http://www.blackwell-synergy.com/doi/full/10.1111/j.1467-9280.2005.01663.x
まずはサマリー訳。
性欲が性行動全般を活発化させるものであれば、性欲が強ければ、男女両方に性的魅力を感じるはずである。そうではなく、性欲が、もともとの性指向の性反応のみを活発化させるのであれば、性欲が強ければ、もともとの性指向に従って、選択的に男女いずれかに対して性的魅力を感じるはずである。3645名を対象とした研究が示すところでは、多くの女性は、性欲が強いと男女両方に性的魅力を感じた。しかし、男性では、性欲が強いと、性指向に従って、男女いずれかへの強い性的魅力を感じた。これらの結果が示唆するのは、性欲と性指向の構成の関連性は、男性と女性で違うということだ。
ABSTRACT—If sex drive is a generalized energizer of sexual behaviors, then high sex drive should increase an individual's sexual attraction to both men and women. If sex drive energizes only dominant sexual responses, however, then high sex drive should selectively increase attraction to men or to women, but not to both, depending on the individual's sexual orientation. Data from three studies assessing a total of 3,645 participants show that for most women, high sex drive is associated with increased sexual attraction to both men and women. For men, however, high sex drive is associated with increased sexual attraction to only one sex or the other, depending on the individual's sexual orientation. These results suggest that the correlates of sex drive and the organization of sexual orientation are different for women and men.
以下補足。
サマリーには書かれていないが、レズビアン女性では、性欲が強くてももっぱら女性に魅力を感じた。
すなわち、わかりやすく要約すると。
ヘテロ男性：性欲が強くても女好き。
ゲイ男性：性欲が強くても男好き。
ヘテロ女性：性欲が強いと、男も女も好きになる。
レズビアン女性：性欲が強くても女好き。
性指向の度合いを図にしたのが以下。
縦軸が女好き
横軸が男好き
点数が7点に近いほどその性指向が強い。
男では、女好き7点、と男好き7点の２箇所に集中。
一方で、女では、男好き5,6,7点のあたりの人々は、女好きの上の方にも幅広く分布。
すなわち女性の方が、そもそも割とプチ･バイセクシュアル傾向。
あと、研究方法も追記。
基本的には匿名の質問紙法。
性欲、男性に魅かれる度合い、女性に魅かれる度合い、をそれぞれ１点（全然反対）から7点（非常に賛成）のどれかで評価。
ヘテロはこの著者の所属する大学の学生。
ゲイ･レズビアンはゲイ･レズビアンクラブや、組織からの協力者。
以下はAJ考察。
・ 戦国とか江戸時代の日本人男性は、性欲強いと、バイセクシュアルだった気もするが。
・ FTM、MTFの性欲･性指向との関連で考えると興味深い。
つまり女好きFTMは、男性ホルモン投与で性欲アップして、ますます女好きに。
一方で、性欲が強いときには、男女どちらも好きだったMTFが、女性ホルモン投与で性欲減少し、もっぱら男好きになる???
