性犯罪者の処遇プログラム

http://www.asahi.com/national/update/1215/TKY200512140458.html
朝日新聞
性犯罪者再犯防止教育、「自己分析」軸に5科目 法務省
2005年12月15日10時20分

 性犯罪者の再犯防止策を検討してきた法務省は14日、来年度から刑務所や保護観察所で行う「性犯罪者処遇プログラム」の原案をまとめた。社会に戻った際、自分で再犯を思いとどまる力をつけさせることが目的だ。犯行に至るまでの行動を自己分析させる《性犯罪のプロセス》などの5科目を中心に据えた。再犯の恐れの高さなどに応じて受講科目を決め、最長16カ月余りかけて履修させる。

 奈良市で昨年11月に起きた女児誘拐殺害事件をきっかけに、法務省は今年4月、専門家による研究会を立ち上げ、その議論にもとづいて原案をまとめた。

 法務省によると、性犯罪者の多くは人とつきあうことが苦手で、「誘いをかけたのは被害者の方だ」「急に冷たくなった」などと誤った思いこみをしているケースが少なくないという。

 こうした問題に対応するために5科目の中に設けたのが、別の事件の犯人の言い訳をテーマに議論して思いこみのメカニズムに気づかせる《認知のゆがみ》だ。就職面接の演習などを通じて対人関係を築くトレーニングをする《自己管理と対人関係》、手記やビデオを見聞きする《被害者への共感》といった科目でも立ち直りを支える。

 また、犯行に至る行動を分析すると、事件への最初の引き金は「仕事上のストレスがたまった」ことだったりするという。ストレスの処理に困って盛り場に1人で出かけた揚げ句、事件を引き起こすというわけだ。

 このため、《再発防止計画》と名付けた科目で、対象者に自分の行動を詳しく分析させ、「仕事上のストレスを避けるにはどうしたらいいか」「ストレスを感じたら、どう対処したら良いか」などを考えさせる。

 5科目は、先行しているカナダや英国での「認知行動療法」を参考にした。グループワークや個人指導を組み合わせる。ワークブックを使い、宿題が出ることもある。

 受刑者や仮釈放中の保護観察対象者は、現行法にもとづいて受講を義務づける。一方、保護観察付き執行猶予者については、受講を義務づける法律がないため、「受講を強く説得する」という。

 法務省によると、対象となる性犯罪者は年間で、刑務所内では約500人、保護観察所では約1200人にのぼるという。

 法務省は今回の原案をもとに、今年度中にプログラムを最終決定する。


TBS
性犯罪者の再犯防止、薬物治療は見送り
 来年度から全国の刑務所などで導入される性犯罪者の再犯防止プログラムについて、法務省は、薬物治療の導入は見送る方針を明らかにしました。

 去年11月に起きた奈良の少女誘拐殺人事件をきっかけに、法務省は、来年度から全国の刑務所や、保護観察所で実施する性犯罪者の再犯防止プログラムの作成を進めてきました。

 14日に開かれた専門家による研究会で、面接やグループワークなどの心理学的な手法を柱としたプログラムの大枠が決定されました。

 しかし、一部の専門家から「タブー視せずに議論を」と意見が出されていた男性ホルモンを抑制するなどの薬物治療については、今後の検討課題として導入は見送られました。

 法務省は、「薬物治療は投与が中断されると逆効果になる危険もあり、心理学的な手法の整備が最優先だ」としています。(14日18:52)


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051214i419.htm?from=main4
性犯罪者の処遇プログラム決定、刑務所などで実施へ


法務省は14日、性犯罪者処遇プログラム研究会を開き、来年度から刑務所などで実施するプログラムの内容を決めた。

 同研究会は奈良市の女児誘拐殺人事件などを受け、精神科医臨床心理士らで発足。性犯罪による受刑者を対象にした科学的、体系的な再犯防止策の検討を重ねてきた。
 プログラムは、性犯罪による受刑者を3段階に分類、〈1〉自分がどういう時に性犯罪を起こすのか理解させる〈2〉対人関係の作り方を学ばせる〈3〉被害者の受け止め方を理解させる――などの講習を受けさせ、性犯罪を起こさないよう自制できるようにするのが狙いだ。最長115時間で、当面、性犯罪による受刑者約900人のうち約500人を対象に20か所の刑務所で行う。
 保護観察中のすべての性犯罪者にも、プログラムを保護観察所で実施。内容は受刑者とほぼ同じだが、家族にも更生を援助する環境作りを指導する。執行猶予者保護観察法では、受講を義務づけられないため、同省は法改正を目指す。
 一方、性犯罪者の薬物療法については、同省では「法改正や有効性の検証など課題は多いが、検討していく」としている。
(2005年12月14日22時27分 読売新聞)


http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051215k0000m040044000c.html
再犯防止:性犯罪者処遇プログラム案決定 法務省の研究会


 精神科医臨床心理士などの有識者でつくる法務省の研究会は14日、性犯罪者の再犯を防止するための「性犯罪者処遇プログラム案」を決定した。欧米などで導入されている「認知行動療法」と呼ばれる心理療法を取り入れ、来年度から刑務所20カ所と保護観察所50カ所で実施する。
 認知行動療法は、問題行動の原因となる認識や行動のひずみを自覚させ、修正することを目指す療法。プログラム案では、対象者の再犯の危険度に応じて、複数のカリキュラムを用意し▽性犯罪の発生過程の自己分析▽対人関係を改善する訓練▽被害者の苦痛の理解▽自分の感情を統制する訓練−−などを行う。
 再犯の危険が高いと判定された受刑者の場合は、1回100分のプログラムを8カ月〜1年4カ月間、週に1、2回程度受けさせる。保護観察対象者には、1回2時間のプログラムを2週間に1回程度、必要に応じて受講させる。初年度は、受刑者約500人、仮出所者と保護観察付き執行猶予者約1100人が対象になると見込まれる。
 性犯罪者の再犯防止対策の遅れは、奈良市の小1女児誘拐殺害事件(昨年11月)をきっかけに問題化した。これまでは科学的・体系的な再犯防止プログラムがなく、各刑務所などが手探りで実施していたうえに、受講者も少数にとどまっていた。来年度からは刑事施設・受刑者処遇法が施行され、受刑者にプログラムへの参加を義務付けられるようになる。
 一方、研究会は、抗男性ホルモン剤の投与などの薬物療法については、新たな立法措置が必要だとして、今後の検討課題とした。【森本英彦】
毎日新聞 2005年12月14日 18時58分 (最終更新時間 12月14日 22時38分)


NHK


性犯罪 再犯防止プログラム


この研究会は、去年11月に起きた奈良市の小学生の女の子が誘拐され、殺害された事件をきっかけに、性犯罪を犯した受刑者や保護観察中の仮出所者らが、同じような犯罪を繰り返すことを防ぐための新たな教育プログラムを検討するため、ことし4月に設置されたもので、14日の会合で、プログラムの具体的な内容を決めました。それによりますと、すべての受刑者に対して「スクリーニング」という分類を行い、▽性的な動機に基づいた犯罪か、▽常習性が高いかなどを判断し、対象者を絞り込んだうえで、新たに設ける調査センターで詳しい調査を行ってどの程度の教育が必要かを判断します。そのうえで、教育が必要な受刑者に対し、▽自分が犯した性犯罪の分析や▽被害者の受ける苦痛、それに▽性犯罪を犯したみずからの考え方の偏りを理解させて、社会に適応する考え方に修正するなど、1回100分のプログラムを最大で1週間に2回、あわせて115時間受講させるとしています。また、保護観察中の仮出所者らに対しては、1回2時間のプログラムを5種類用意して、必要に応じて受講させることにしています。受刑者については、先の通常国会で成立した「刑事施設・受刑者処遇法」で、性犯罪者にこうしたプログラムの受講を義務づけており、法務省では、来年度から新たなプログラムを実施することにしています。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051214-00000178-kyodo-soci
「欲望制御」目指す教育案 性犯罪者の再犯防止で


 性犯罪者の再犯防止教育を検討している法務省有識者研究会は14日、性に対する勝手な思い込みなど認識のゆがみを自覚させ、欲望の制御を目指す「認知行動療法」を取り入れた刑務所・保護観察所の教育プログラム案をまとめた。
 法務省は一部施設で試行後、来年度から全国で導入する。矯正教育の受講を義務付けた受刑者処遇法の来春施行などにより、性犯罪による受刑者や保護観察中の仮出所者は教育プログラムへの参加を義務付けられる。
 男性ホルモンを抑える薬物療法については「ただちに導入できない」とし、手法の妥当性や副作用、有効性などを導入の是非を検討する課題として指摘した。
共同通信) - 12月14日18時56分更新


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051214-00000115-jij-pol
認知行動療法」、06年度から導入=性再犯防止案を決定−法務省研究会


 精神医学者などの有識者から成る法務省の研究会は14日午後の会合で、性犯罪者の再犯防止プログラム案を決定した。「認知行動療法」と呼ばれる精神疾患の治療法を採用しており、法務省は今年度中にプログラムを確定させ、2006年度から受刑者や保護観察対象者の再犯防止教育に導入する。 
時事通信) - 12月14日19時0分更