性同一性障害への深い理解から


看護学2005.57.3.101P
http://www.jnapc.co.jp/mag_body.php?ID=298&year=2005&month=3&magz_id=298
Special Book Review
性同一性障害への深い理解から
『解説 性同一性障害者性別取扱特例法』(南野知惠子監修、川崎政司編集)


日野原重明(ひのはらしげあき)
聖路加国際病院理事長


 先般、参議院議員から法務大臣の役職に就かれた南野知惠子議員が、性同一性障害者性別取扱特例法についての解説書を、日本加除出版から監修者として出版されました。
 南野議員は、看護師、助産師、看護大学教授という医療職の経験の中において、女性でないと十分に理解されない倫理的問題を抱えていたり、性に関する障害を持つクライエントの生活の質を高めるため、これらの人の救済のための法律をいくつか手がけてこられました。
 「性同一性障害者性別取扱特例法」に関する法律は、議員立法として提出され、国会の審議で認められましたので、南野議員はこの立法に協力された方々とともに、同法律の解説書として本書を刊行されたのです。
 長年、議員立法による法制化の実績を上げてこられた南野議員は、性的ハンディキャップを持つ方やその家族の心情をよく理解されていますが、本書には、それがどのようにして立法化されたかの過程が、極めて正確に、丁寧に記載されています。
 本書は、医師、看護師、その他の医療職にある者、看護教育・医学教育に携わる者、また看護学生・医学生や一般社会人でこの方面の問題に関心を持つ方々のために、多くの心理学的、科学的、倫理的、社会的立場から見た上での有用な参考資料となるものと思います。
 本書が、幅広い専門職や一般人に広く読まれることを期待します。