トランスジェンダーの性的指向

2008年4月~2016年7月、はりまメンタルクリニックを受診し、性別違和と診断されたもの。

FTM2214名、MTF1301名

FTM 女性87%、男性3%、両性5%、なし1%、不明3%

MTF 女性25%、男性44%、両性18%、なし5%、不明9%

 (小数一桁四捨五入のため、合計100%でない場合あり)

セックスセラピー入門 P336~337参照

 

 

 

ホルモン療法を受けているトランスジェンダーの人々における乳がんリスク:オランダにおける全国的コホート研究


www.bmj.com

ざっくりいうと、ホルモン治療をしているトランス女性は、シス男性より46倍、乳がんのリスクが高いが、シス女性 との比較では0.3倍と低い。

 

訳 google+AJ


ホルモン療法を受けているトランスジェンダーの人々における乳がんリスク:オランダにおける全国的コホート研究
抄録 
【目的】一般オランダ人集団と比較したオランダのトランスジェンダーの人々における乳癌の発生率と特性を調査すること。
研究デザイン:後ろ向き、全国コホート研究。
研究場所:オランダのアムステルダムにある三次の専門のジェンダークリニックを設立。
対象:ホルモン療法を受けた2260人の成人トランス女性(出生時に男性の性別割り当てられ、女性の性同一性)および1229人の成人トランス男性(出生時に女性の性別に割り当てられ、男性の性同一性)
主な結果の測定:トランスジェンダーの人々における乳がんの発生率と特徴(例:組織学、ホルモン受容体の状態)。
結果:このコホートにおける総観察人時は、トランス女性が33 991歳、トランス男性が14 883歳であった。コホートの2260人のトランス女性では、15例の浸潤性乳がんが同定された(ホルモン治療の期間の中央値18年、範囲7〜37年)。これは、男性男性よりも46倍高かった(標準発生率46.7、95%信頼区間27.2〜75.4)が、シス女性よりも低かった(0.3、0.2〜0.4)。ほとんどの腫瘍は乳管由来であり、エストロゲンおよびプロゲステロン受容体陽性であり、そして8.3%がヒト上皮成長因子2(HER2)陽性であった。 1229人のトランス男性において、4例の浸潤性乳がんが同定された(ホルモン治療の期間の中央値15年間、範囲2〜17年)。これは、シス女性と比較して予想よりも低かった(標準化された発生率0.2、95%信頼区間0.1〜0.5)。
結論:本研究では、シス男性と比較してトランス女性の乳がんのリスクが増加し、シス女性と比較してトランスの男性のリスクが低いことが示された。トランス女性では、比較的短期間のホルモン治療中に乳がんのリスクが高まり、乳がんの特徴はより女性的なパターンに似てた。これらの結果は、ホルモン療法を使用しているトランスジェンダーの人々にとっては、シスジェンダーの人々に対する乳がんのスクリーニングガイドラインで十分であることを示唆している。

Abstract
Objective To investigate the incidence and characteristics of breast cancer in transgender people in the Netherlands compared with the general Dutch population.
Design Retrospective, nationwide cohort study.
Setting Specialised tertiary gender clinic in Amsterdam, the Netherlands.
Participants 2260 adult trans women (male sex assigned at birth, female gender identity) and 1229 adult trans men (female sex assigned at birth, male gender identity) who received gender affirming hormone treatment.
Main outcome measures Incidence and characteristics (eg, histology, hormone receptor status) of breast cancer in transgender people.
Results The total person time in this cohort was 33 991 years for trans women and 14 883 years for trans men. In the 2260 trans women in the cohort, 15 cases of invasive breast cancer were identified (median duration of hormone treatment 18 years, range 7-37 years). This was 46-fold higher than in cisgender men (standardised incidence ratio 46.7, 95% confidence interval 27.2 to 75.4) but lower than in cisgender women (0.3, 0.2 to 0.4). Most tumours were of ductal origin and oestrogen and progesterone receptor positive, and 8.3% were human epidermal growth factor 2 (HER2) positive. In 1229 trans men, four cases of invasive breast cancer were identified (median duration of hormone treatment 15 years, range 2-17 years). This was lower than expected compared with cisgender women (standardised incidence ratio 0.2, 95% confidence interval 0.1 to 0.5).
Conclusions This study showed an increased risk of breast cancer in trans women compared with cisgender men, and a lower risk in trans men compared with cisgender women. In trans women, the risk of breast cancer increased during a relatively short duration of hormone treatment and the characteristics of the breast cancer resembled a more female pattern. These results suggest that breast cancer screening guidelines for cisgender people are sufficient for transgender people using hormone treatment.

うらやすだより

第144回浦安ジェンダークリニック委員会(5/13)報告

  個別症例検討:2例
   ホルモン療法開始:     1名 承認
   ホルモン療法継続:     1名 承認
   ホルモン療法再開:     0名 承認
   乳房切除術   :     0名 承認
   性別適合手術  :     0名 承認 

     ( FTM 0名、 MTF 2名 )
   
   以上、2名が承認されました。

The Good Doctor :Season 1 ,14 "She"

The Good Doctor,面白くてdvdで見ているところだが。

Season 1 ,14 "She"は、トランスジェンダーの子供が患者さん。

思春期ブロッカーを使用していて、片側に精巣腫瘍がみつかり、本人は、両側精巣切除を希望して‥

という話。

子供の性別違和の治療の最近の賛否の議論が十分に取り入れられれ、ドラマのレベルを感じるとともに、アメリカにおける最近の状況もよく分かった。

 

医学的診断名の「gender dysphoria」が字幕では「性同一性障害」となっているのは、まあしょうがないのだろうけど・・。

 

 

I HAVE PRIDE

今年のTRPのテーマは「 I HAVE PRIDE 」だった。

英語はあまり得意ではないので、「 I HAVE A PRIDE」とAがつかなくていいのかな、と疑問だった。

調べてみたら、確かにprideは基本的には不可算名詞で、Aはつけなくてよかった。

ただ「a pride」と可算名詞になることもあって、それはライオンの「群れ」を意味するとき。

a pride of lionsというらしい。さすがライオン。群れがプライドとは。

TRPでいえば、マッチョなゲイの一群がいたが、ライオンの群れ、という感じだった。

ついでにいえば、ドラァグのお姉さま方は、色鮮やかに羽を広げ、クジャクの群れという感じだった。

自民党案は「性自認」でなく「性同一性」を採用

マニアックすぎるのか報道もほぼされないので、気が付かなかったが、自民党LGBT理解増進法案は、最終的には「性自認」ではなく、「性同一性」を採用していた。

 

森喜朗元首相のサマータイムよりLGBT理解増進法こそ東京五輪のレガシーに

 

理由としては

>医学上の観点から「性同一性」の用語を指摘すべきというご指摘があり

>法律用語になっていることを鑑み

https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/132489_1.pdf?_ga=2.104838281.881648761.1556509763-916923658.1556509763

 

とある。

医学上の観点からの指摘については、あげられている文献は、どこかで聞いたことのある著者ではあるが、2000年の文献。古いよね。

2019年の医学的観点をいえば、もはや「gender identity」は、DSM-5でもICD-11でも使われていなく死語。experienced/expressed genderに置き換わっている。

ガイドラインでも、結局、「ジェンダーアイデンティティ」のカタカナで落ち着いた。

2019年の個人的見解では、ひろく「性自認」が普及した現在、あえて「性同一性こそがただしい」と自説を強く主張する気はない。むしろ、みなが使い慣れている「性自認」でよいと思っていた。19年たっていれば朝令暮改でもないだろう。

 

法律用語に関しては、特例法は「性同一性障害者」は定義しているが「性同一性」はどこにも定義されていない。法律用語とは言えない。

 

結局、なにゆえ「性同一性」に変更されたのかがちょっとわからないが、推測するに。

 

性自認」は「性的指向性自認」とワンセットで、人権用語としての側面が強すぎ、医学用語をあえて採用した。

 

 

2語とも、もとはおなじgender identityの訳語なのに「性自認」は時間的連続性を含まず、「性同一性」は時間的連続性を含む、という珍妙な使い分けが一部で行われている。それゆえ、時間的連続性を含む「性同一性」を採用した。

すなわち、ジェンダー流動性を排除した。

つまり「最初はアイデンティティは男性だったけど、だんだん女性になった」といったタイプはダメ。

ということかもしれない。

 

 

Modern Physician(モダンフィジシャン)5月号 特集『医療者のためのLGBT/SOGIの基礎知識』

 

 

特集:医療者のためのLGBT/SOGIの基礎知識

巻頭言(中塚 幹也) 428

LGBT/SOGIの基礎知識》
1.LGBT,SOGIの中の「性同一性障害」とは(中塚 幹也) 430
2.LGBTの歴史,病理化と脱病理(針間 克己) 434

性同一性障害診療の実際》
1.ガイドラインに沿った性同一性障害の診断と治療および性別変更の実際(太田順一郎) 437
2.性別違和とこころの診療(康   純) 441
3.幼児期・児童期の性同一性障害当事者への対応:学校医,児童精神科医の役割(中山  浩) 445
4.「性同一性障害」に対するホルモン療法の理解と現状:思春期から高年期まで(石原  理) 448
5.性同一性障害の手術療法の実際:日本での手術,海外での手術(難波祐三郎) 452
6.性同一性障害と健康保険(舛森 直哉) 456
7.GID性同一性障害)学会認定医制度と認定医の役割:全国診療拠点の状況(松本 洋輔) 459

《あなたのクリニックを性同一性障害当事者が受診したら》
1.診療所における性同一性障害当事者の診療―専門医からのアドバイス―(松永 千秋) 462
2.産婦人科クリニックで行う性同一性障害診療のポイント(種部 恭子) 465
3.性同一性障害/性別違和当事者が困らない外来づくり ―看護スタッフの視点から―(三宅 麻希) 468

LGBTと医療》
1.ジェンダーアイデンティティ(性同一性)をサポートするとは(佐々木掌子) 472
2.ゲイ・バイセクシュアル男性の生きづらさと健康リスク行動(日高 庸晴) 475

LGBTを取り巻く社会》
1.LGBT/SOGIをめぐる国際社会の動向と日本社会のこれから(東  優子) 478
2.LGBTブームの光と影(三橋 順子) 482
3.国際人権法からみる日本のLGBT/SOGIに関する課題 ―医療従事者が果たすべき役割とは―(谷口 洋幸) 485
4.学校の中と外で可能なLGBTの子どもへの支援(土肥いつき) 490
5.LGBT,SOGIと就職活動:企業の人事担当・産業医に求めること(藥師 実芳) 492

http://shinkoh-igaku.jp/mokuroku/data/M3905.html