性別違和・性別不合へ

性別違和・性別不合へ

針間克己[著]

緑風出版│性別違和・性別不合へ(ISBN978-4-8461-1915-7)

 性同一性障害が、DSM -5では「性別違和」にすでに変更され、ICD -11 では「性別不合」へと変更される。その変更は単なる名称の変更だけではない。性同一性障害から何が変わるのか? どうなるのか? 「脱病理化」とはどういうことか?精神疾患ではなくなるのか?性同一性障害特例法、ガイドライン、保険適用などはどうなるのか?
 本書は性同一性障害をめぐる諸問題に精神科医として二十数年にわたって取り組み、現在も患者の診療を担っている第一人者が、その変更の意味と影響についてやさしく解説する。(2019.9)

■内容構成
はじめに
1 DSMとはなんだろうか
 ? DSMとは
 ? DSM-Ⅰ、DSM-Ⅱ
 ? 「シュリンク
 ? 反精神医学運動
 ? 同性愛者の権利運動
 ? ロバート・スピッツアーの登場
 ? チャールズ・ソカリデス
 ? 性的指向障害
 ? DSM-Ⅲ の誕生
 ? 精神医学のバイブルに
 参考図書
2 ICDとはなんだろうか
 ? ICDとは
 ? ICDの歴史
 ? ICDの作成過程
 ? ICDとDSM
 ? ICD-11の性別不合とDSM-5の性別違和はなぜ異なるものとなったか
 ? ICD-11案に対するコメント
3 病理化と脱病理化とはなんだろう
 ? 病理化と脱病理化
 ? 病理化される前の時代
 ? 病理化の始まり
 ? 身体的性別とジェンダーアイデンティティを一致させる治療
 ? 門番としての精神科医
 ? 同性愛の脱病理化
 ? トランスジェンダー概念の誕生
 ? 同性愛をモデルとしての脱医療化の動き
 ? DSM-5の性別違和
 ? ICD-11の性別不合
 ? 日本の性同一性障害
 ? LGBT
 ? SOGI
4 DSM-5の「性別違和」を詳しく見てみよう
 ? DSM-5における「性別違和」の診断基準
 ? DSM-IV-TRの「性同一性障害」とどこがどうかわったか
5 ICD-11の性別不合を詳しく見ていこう
 ? 性別不合は「精神及び行動の障害」から「性の健康に関連する状態」へ
 ? 「conditions」を「状態」と訳すか「病態」と訳すか
 ? 性別不合の診断基準
 ? 「性別不合」という診断名
 ? 性別不合は、身体治療を受けるためのものである
 ? 性別不合はノンバイナリーか
6 服装倒錯的フェティシズムはどうなったか?
 ? DSM-5でどうなったか
 ? ICD-11ではどうなったか
7 ガイドラインはどうなるだろう?
 ? ガイドラインとは何か
 ? ガイドラインはだれが作成すべきか
 ? ガイドラインの中身をどうすべきか
8 保険適用はどうなるだろう?
 ? 保険適用の現状
 ? 手術療法が保険適用されたが……
 ? ホルモン療法はなぜ保険適用されない
 ? 性別不合の保険適用は?
9 「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」はどうなるだろう?
 ? 特例法制定まで
 ? ステファン・ウィットル
 ? 生殖不能要件なしは、国際標準に
 ? 最高裁判決
 ? 「性別違和」、「性別不合」への変更と特例法
 ? 医療と法律
 ? WHOの立場
10 GID学会の名称はどうなるだろう?
最終章 トランスジェンダーの人権と健康
あとがき