性同一性障害者の「適合手術」、保険対象に 来年度から

朝日
http://www.asahi.com/articles/ASKCY3HZ0KCYUCLV003.html
性同一性障害者の「適合手術」、保険対象に 来年度から
水戸部六美
2017年11月29日17時33分
 厚生労働省は、体と心の性が一致しない性同一性障害の人が体を心の性に合わせる「性別適合手術」を、来年度から公的医療保険の対象に含める方針を固めた。29日に開かれた中央社会保険医療協議会厚労相の諮問機関)に提案し、大筋で了承された。
 この手術はいま、公的保険の対象外のため多額の費用がかかる。それが保険適用されれば、原則3〜1割の自己負担額で済むようになる。高額療養費制度によって、自己負担額に上限も設けられる。
 性同一性障害の人は精神保健福祉法上、精神障害と位置付けられている。性別変更を認める2004年施行の特例法は「20歳以上」「婚姻していない」などに加え、子宮や精巣などを摘出する性別適合手術を受けることを変更の要件としている。
 厚労省性別適合手術を受けるための医療環境が整ったことや、性的少数者が社会的に認知されてきたことを踏まえて、保険適用の可否について議論が必要と判断していた。(水戸部六美)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201711/CK2017112902000142.html
東京新聞
性適合手術 来年度から保険適用へ 従来は100万円以上も
厚生労働省は二十八日、心と体の性が一致しない性同一性障害GID)の人を対象にした性別適合手術について、来年度から新たに公的医療保険の適用対象とする方向で検討に入った。近年、性的マイノリティーへの社会的認知が広がっていることが背景にあり、社会保障制度でも支援体制を整える動きが始まったといえそうだ。
 現在は高額な費用が壁となって手術をためらう人も多いが、保険が適用されれば最大三割の自己負担で受けることができる。厚労省は二十九日の中央社会保険医療協議会厚労相の諮問機関)に提案する。
 医療機関性同一性障害の診断を受けた人に対しては、精神療法やホルモン療法のほか、子宮や卵巣、精巣を摘出したり陰茎を切断したりする性別適合手術の治療がある。ただ、精神療法以外は保険が適用されず、治療に百万円以上かかる場合も多い。
 一方、二〇〇四年に施行された性同一性障害特例法では、戸籍の性別変更の条件として、性別適合手術を受けることを求めている。このため比較的費用が安い海外に渡航して手術を受ける人も多く、当事者へのアンケートでは国内と国外での手術件数がほぼ同数になっている。
 厚労省は保険適用の範囲については、性別変更の条件を踏まえ、心の性に身体を近づけるホルモン療法は対象から外す方向で検討する。
 <性同一性障害GID)> 心と体の性が一致しない障害。肉体的な性別に不快感を持ち、心の性別で日常生活を送ることを望む。原因は分かっていない。医療機関ではカウンセリングなどの精神療法やホルモン療法、性別適合手術を行う。2004年施行の性同一性障害特例法により(1)2人以上の医師による診断(2)20歳以上(3)結婚していない(4)性別適合手術を受けている−などの条件を満たせば、家庭裁判所に請求し、戸籍の性別変更が可能となった。16年末までに約6900人が性別を変更した。