ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき

『ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき』、読んだ。
建前の書評は別に書くので、ここでは本音を。


読後感は悪い。
著者は、あの「スタンフォード監獄実験」をした心理学者。
その後、アブグレイブ刑務所虐待の調査も行い。


結論的には「善良な人も状況やシステムで悪事を行う」ということだが。


著者のいう善と悪とは何かが不明。


悪事として、ナチスとか、旧日本軍とか出てくるが、原爆による、広島、長崎民間人大虐殺については全く触れず。
最終章では、英雄の例として、マザーテレサマンデラなどと並び、なぜか無批判に、日本兵を殺しまくった米兵の名が挙がり。


「善良な人も、戦争で、民間人殺し、レイプ、捕虜虐待など残酷なことを行いうるのだ}
とどや顔で語るが。
そもそも、「善良な」人も、いったん戦争になれば、人を殺しまくることなど、周知の事実ではないか。


どうも、この先生、「規律正しく敵兵を殺す」のは絶対正義で、疑問を感じないが、「規律を破り、虐待などする」のは、絶対悪だと、単純に2極化して考えているっぽい。
自己のアメリカ的価値観をもう少し相対化してもよさそうだが。


あと、「自分はブロンクス育ちの悪だった」といった、出川哲郎的ちょい悪自慢をするのは見苦しい。
監獄実験をやめさせた奥さんを「英雄だ」と褒めたたえるのも片腹痛い。


要するに、ちょっと、おめでたい先生か…

ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき

ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき