子宮移植の指針固まる 来年度にも実施手続き可能


AJの疑問、
1.「女性」の定義は?菅沼先生はGIDには理解のある先生だが…

2.FTMが子宮を提供する場合、その手術費用を、子宮を提供される側が負担する場合、「営利目的」となるのか?




朝日
http://www.asahi.com/articles/ASGDJ6H1YGDJULBJ019.html
子宮移植の指針固まる 来年度にも実施手続き可能
岡崎明子
2014年12月17日16時18分

 子宮がなくても出産を望む女性への子宮移植を研究している慶応大などのチームが、日本で実施するための指針の大枠をまとめ、17日付で日本産科婦人科学会など3学会に指針を送った。国内でのルールが固まったことになり、早ければ来年度にも実施に向けて動き出すことになる。

 指針は、移植を受けるのは、子宮がないために妊娠ができない女性▽提供者は、通常の臓器移植と同様に生体、死体とも候補者として考慮する▽営利目的のあっせんを行わない――など10項目からなる。

 このチームは、3学会からの意見を踏まえて最終指針をまとめ、これを医師や倫理の専門家らで作る「日本子宮移植研究会」の指針とする。各施設が指針に基づいて、臨床研究として子宮移植の計画を倫理委員会に申請し、認められれば実施されることになる。

 子宮移植をめぐっては、出産のために臓器移植をする妥当性や、提供者に与える身体的な負担など倫理的な問題も指摘されている。

 スウェーデンのチームが今年10月、子宮移植を受けた女性の世界初となる出産成功を発表。その後、2人の出産も明らかにした。

 研究会理事長の菅沼信彦・京都大教授は「子宮を移植しても出産できるかどうかわからなかったが、成功例が出てきた。学会の意見を聞いた上で、日本でも実施に向け動き出していきたい」と話す。(岡崎明子)


読売
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=109681
子宮移植実施へ要望書…慶大などチーム

学会が是非検討


子宮がなくても出産を望む女性への「子宮移植」を検討している慶応大や京都大などのプロジェクトチーム(PT)は17日、日本産科婦人科学会と日本移植学会、日本生殖医学会に対して、子宮移植の実施に関する見解を求める要望書を郵送した。

 各学会は今後、倫理面や安全面で問題がないかなどを検討する。実施に向けて一歩前進した形だ。

 子宮移植は、生まれつき子宮がなかったり、がんなどの病気で子宮を摘出したりした女性に母親など第三者の子宮を移植し、あらかじめ体外受精させた受精卵を戻して妊娠、出産させる技術。対象となりうる女性は、国内に20〜30歳代だけで推計6万〜7万人いるとされる。

 PTは今年8月、「営利目的の斡旋(あっせん)禁止」などの倫理指針をまとめた。要望書では、この指針に対し、学会の見解を求めている。

 生体間の臓器移植は日本移植学会の指針に基づいて行われているが、出産を目的とした子宮移植について同じように認められるかなども聞いている。子宮移植は2000年から海外で実施されており、スウェーデンでは今年9月、子宮移植を受けた女性が出産に世界で初めて成功。さらに、2人が出産した。

 国内では、PTが2年前に、子宮を摘出して再び移植し直したサルで出産に成功している。

 PTの菅沼信彦・京大教授(生殖医学)は「子宮移植は社会的に影響の大きい技術なので、医師と患者だけで進めるのではなく、関連学会や一般の意見を広く聞いた上で、数年以内に臨床研究を実施したい」と話している。

[解説]実現へ安全・倫理面に課題

 代理出産が国内で認められていない中、子宮移植は子宮がなく子供をあきらめていた女性に大きな希望を与える可能性があるが、実現には課題も多い。

 単なる子宮摘出に比べ、移植では太い血管も一緒に切り取るため、提供者の体への負担は大きい。移植を受けた側も他人の臓器への拒絶反応を抑えるため、妊娠中でも免疫抑制剤を服用する必要があり、安全性の検証が必要だ。また、子宮が売買されたり、患者の母親が暗に提供を強制されたりすることも懸念される。

 それでも、他人に産ませる代理出産に比べれば、自分で産む子宮移植の方が倫理的問題は少ないという声が多い。日本では法律上、出産した女性が母親とみなされるため、代理出産のように親子関係の問題が生じる心配もない。

 子供を望む切実な声に耳を傾けながら、安全面と倫理面の両面から子宮移植実現の可能性を慎重に探っていくべきだ。(編集委員 鈴木あづさ)

(2014年12月17日 読売新聞)


http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141217/k10014058191000.html
NHK
子宮移植 実施に向け学会に見解求める
12月17日 17時58分がんで子宮を摘出するなどした女性に、親族などから提供された子宮を移植して出産を目指す「子宮移植」について、慶応大学などのグループが移植を実施する際の指針をまとめ、日本産科婦人科学会など関連する学会に意見を求める要望書を送りました。
グループでは、学会からの意見を受け最終的な指針をまとめるとともに、移植手術の実施を検討したいとしています。

子宮移植は、生まれつき子宮がなかったり、がんで子宮を摘出したりした女性を対象にしていて、国内に6万人から7万人程度対象者がいると推計されています。
子宮移植について研究している慶応大学や京都大学などのグループは、ことし8月、子宮の提供は提供者の自発的な意思で行うことや、営利目的の提供やあっせんは行わないことなど移植を実施するうえでの指針をまとめました。
グループでは、この指針について、関連する学会から広く意見を求めたいとして、日本産科婦人科学会と日本移植学会、それに日本生殖医学会に対し見解を求める要望書を送りました。
グループでは、3つの学会からの見解を受けて最終的な指針をまとめ、今後、国内での子宮移植の実施について検討したいとしています。
子宮移植は海外ではすでに実施され、スウェーデンでは3例の出産の実績があるということです。
研究グループのメンバーで京都大学の菅沼信彦教授は、「日本で子宮移植を実施するうえでは、さまざまな課題があるので、幅広く意見を聞きながら議論を進めていきたい」と話しています。