DSM-5 experienced genderとは、身にしみて感じた性別のこと

DSM5では、gender identityにかわり、experienced/expressed genderという言葉が使われている。
このexperiencedは「経験した」と訳していたが、正直なところ意味が分かりにくい。
experienceとは「経験する」というのが一般的な訳語だが、その意味するところは、実際に経験して、身にしみて分かった、感じた、という意味である。
すなわち、experienced genderとは、これまでの人生において、様々な経験から身にしみて感じた性別のことである。
gender identityは「自分の性別は男だと確信」してることだが、性別違和を持つものは、そこまで確信していないことも多い。
実際には「体が女なのは分かっているけど、自分は男だと感じるんだ」というふうなので、臨床的には言葉の置きかえは、納得するところである。
ただそのぶん、確信の度合いの弱いものもふくむという意味では、疾患概念の拡散化ともいえるかも。