あさイチ「自分らしく生きたい〜性同一性障害〜」 2013.02.13

あさイチ、放送内容を文字に起こしたサイトを見つけた。
http://o.x0.com/m/14187

それを少し加筆修正した。
不完全、不正確ではあるが・・・。



ゲストは内藤剛志さんと山口もえさんです。
よろしくお願いします。
イノッチ⇒きょうの特集はこちらです。
こちらは、53歳妻と子どもを持つごく普通のサラリーマンですが長い間、人には言えない思いを抱えていました。
それは、心は女性という気持ちです。
ふだんは男性として仕事をしていますが休日など限られた時間のみ同じ悩みを持つ友人との時間を楽しみます。
一方、こちらは男子生徒として学校に通いたいとクラスメートに宣言した高校生、16歳。
幼いころから自分の体に違和感を感じていたといいます。
いつかは、おちんちんとかが生えてくるんじゃないかっていう考えを持ってて。
自分の体の性別に耐えられない不快感を感じることをGID性同一性障害といいます。
現在、日本にはおよそ1万5000人のGIDの人がいるといわれています。
性同一性障害の人々の告白に向き合ったときの家族の反応は…。
きょうは性同一性障害の人々の知られざる苦しみとそれに向き合う家族を特集します。
内藤⇒僕は、十何年前に性同一性障害ということばがそれほど皆さんに知られていないときに外国の方で、自分が番組をしていたときにお会いした方がいたんです。
見かけはヨーロッパの、いい感じのおじさんだったんです。
理解しているつもりだったけど初めて握手したときにすごく手がやわらかかったんですね、理解していることと、感じることが違うと思ったことが、ありますね。
まず知ることから始まると思うんですけど。
最近、よく聞くようになっていますけど、本当のことはよく分かっていない。
私はアメリカに赴任していたときにゲイやレズビアンの方が周りにいて性同一性障害など、いろんなことばが周りにあって知らないで使うと、すごく傷つけてしまうことがありました。
知ることが大事です。
「ボーイズドントクライ」という映画がありました。
知ることですね。
リポーターは、さとみんです。
高橋⇒きょうお伝えする性同一性障害これは心の性別と、体の性別が不一致の状態で、医学的な病気です。
心の性別というのはカウンセリングだったり気の持ちようで変わるものではありません。
具体的にどういうことかというと例えば、イノッチさんの場合、体の性持って生まれた体の性は男性で、心の性は男性でいいんですよね。
はい。
性同一性障害の場合、持って生まれた体の性が男性で、心の性別が女性なんです。
有働⇒それは、生まれつきなんですか。
高橋⇒生まれつきの方もいますし環境による要因の方もいます。
女性の場合、私の場合は、体は女性、心は女性ですが、性同一性障害の方は体が女性で心が男性なんです。
体が男性で心が女性の方の場合MaletoFemale略してMTFと呼んでいます。
一方、体が女性心が男性の方はFemaletoMaleFTMと呼んでいます。
現在、日本には性同一性障害の方は、1万5000人いる。
または、2000人に1人とも言われていて正確な数は把握できていません。
有働⇒いわゆる同性愛ってわれわれ、使いますよね。
その方と、性同一性障害は違うんですか。
高橋⇒違います。
同性愛の場合、男性の場合、体の性も男性で、心の性も男性で男性を好きになるということですね。
女性の場合も体の性は女性、心の性は女性で、女性が好き。
性同一性障害というのは、体の性と心の性の不一致を表すのでどちらの性別を好きになるか、というのは関係ありません。
自分がどっちか、ということですね。
体と心の不一致のことを、あくまでもいいます。
この性同一性障害、日本では16年前に治療としての取り組みが始まって、その後認知度が高まる中、今、日本では職場や学校で性同一性障害であることをカミングアウトする人も増えてきています。
きょうは夫やわが子など家族が性同一性障害と診断されたときにどう向き合っていけばいいのか考えていきます。
有働⇒皆さんからメールやファックスを受け付けています。
ご家族に性同一性障害の方がいる方の体験談お寄せいただければと思います当事者の方からの声も募集しています。
高橋⇒まず、ご覧いただくのは2年前に性同一性障害と診断された、体は男性、しかし心は女性という方のケースです。
原田雅人さん、当時33歳。
まさに働き盛りのこのころに結婚。
幸せな家庭を築きました。
それから20年がたち53歳となった今。
原田さんは性同一性障害と診断されホルモン療法を受けながら女性・ミサキとして新たな生活を送っています。
週末になると同じ悩みを持つ友人たちとの時間を楽しむミサキさん。
買っちゃいました?そんなミサキさんには専業主婦の妻と中学生の子どもがいます。
昼間は以前と同様に企業で男性として働き家族を養っているのです。
ショッピングのあとは行きつけのお店で夕食。
食べ方にも女性らしさを心がけているといいます。
食べ物を正面から口元へ運ぶ、これが、女性らしい食べ方です。
食事を終えて2人が向かったのは同じ悩みを持つ友人3人で使っているというマンションの一室です。
およそ6畳ほどのワンルームマンション。
女性ものの洋服や化粧品アクセサリーファッション誌など、おしゃれに関するものでいっぱいです。
さらに。
女性誌で気になった記事を集め大切にファイリングしています。
愛読書は、アラフォー向け雑誌。
週に2日は、この部屋へ足を運ぶというミサキさん。
ここはミサキさんにとって唯一、心の性のままでいられる空間なのだといいます。
幼いころから男性であることに違和感を覚えていたという原田さん。
しかし、当時はまだ性同一性障害という病名すらない時代でした。
自分の気持ちを押し殺し男性として就職し、結婚しました。
しかし4年前、とうとう自分の気持ちを抑えきれなくなり精神科を受診するように。
50歳を過ぎて、ようやく性同一性障害と診断されたのです。
病気のことを20年、連れ添った妻にどう説明すればいいのかと思い悩み打ち明けられずにいたといいます。
深夜0時、ミサキさんがメークを落とし始めました。
帰宅する前には女性・ミサキさんではなく夫・原田雅人に戻らなければなりません。
雅人さんとなったミサキさんは家族の元へと帰って行きました。
これはねああいう場所が見つかって、みんなで集まれる場所が見つかって本当の自分でいられるところがある反面、また現実が待っている。
また、そこに帰らなければいけない。
そしていつかは、言わなければいけないというその抱えた悩みは、大きいですよね。
ここからは、専門家の方を交えてお話を進めてまいります。
スタジオには20年近く性同一性障害の方々の治療を続けていらっしゃる精神科医の針間克己先生にお越しいただきました。
ミサキさんのVTRは、どうご覧になりましたか。
針間:ミサキさんが何十年か前は性同一性障害ということばも知られていませんでしたのでミサキさんは、男性として社会に適応しようと結婚して、父親として、夫としてサラリーマンとして、頑張ってきたんだと思います。
やっぱり女性としての気持ちが抑えきれずにだんだんあふれてきて、現在に至っているのかなとそんなふうに思いました。
高橋:ミサキさんの歩みを振り返っていきます。
40代で抱えていた違和感を抑えきれなくなって精神科を受診し50代で性同一性障害という診断が下りました。
有働⇒高橋アナウンサーが説明してくれたんですが性同一性障害という名前の病気と考えるんですか。
針間:病気です。
脳のですか?精神的なですか?
針間:脳のというか心が自分も男性と思っているか、女性と思っているか、ということと体の性別が一致しないということです。
テレビで、いろんなオネエキャラと呼ばれる人が出ています。
男装、女装ということもあります。
それと全く違うんですか。
針間:テレビのオネエキャラの人は、いろいろいますので一概には言えません。
女装の方と違う点は女装は、自分が男性であることは特に問題はないけど時々女装して楽しむ。
内藤:女装ということばを使うということは、男だと言っていることでしょう。
この疾患を抱えている方にとってはつらいことばですよね。
嫌がる方もいますね。
山口⇒病気ということは治ることもあるんですか。
針間:心の状態が体の状態に戻るということはないので、そういう意味では治るということはないですね。
体のほう変えていくことで、だいぶ一致しないことの苦痛が和らいでいくということがあります。
一致するか、しないかということなんですね。
内藤⇒治療の目的はそこなんですね。
針間:体を変えないまでも心を変えることはしません。
一致しないまま、なんとか生きていこうという人もいますがどこで折り合いを付けるか、人によって違います。
体のほうまで変える、というとまで望む方が多いですね。
今の方は本当にカミングアウトして全体的に女性として生きていくことがあの方にとっては一致するということなんですね。
本人にとってはそうですが父親としては夫としてサラリーマンとしてということがあるので難しい。
ミサキさんはついに去年の秋にカミングアウトしました。
しかし、ストレスで悩む夫を見て今は子どもや近所に分からないならという条件で女性として過ごすことを許しているといいます。
しかし…。
難しい問題ですね。
山口⇒難しいと思いますね。
子どもを育てていく中でいろんなことがありますけどほんと、子どもは多感ですからね。
何か本当にきれいごとで済ませられないと思うんですよ。
言うならちゃんと言わないと。
ちゃんとしないとね。
でも相手の気持ちもあるだろうしそこの、お互いがうまくいくところというところを見つけていけたら幸せだなと思います。
そうですね。
高橋⇒ご夫婦のインタビュー針間さんはどのようにご覧になりましたか。
針間:1つ言っておきたいのは子どもが遺伝するのではないかと心配されていましたが、遺伝するものではないのでそういう心配はないと思います。
データ的には性同一性障害と受診する、MTF男性から女性の中で結婚したことがある人が2割いてそのうちの半分の方は、離婚している。
1割の人が離婚歴があって、1割は現在も奥さんがいる。
違和感を持ちつつも結婚するにいたるどういうことですか。
針間:男性としてなんとか頑張りたいと思って結婚する人もいるし結婚してから女性になりたいという気持ちが強まっていくという人もいます。
そうなんですか、もともとそうじゃなかったと。
もともとはそんなにでもなかったのかということです。
高橋:ミサキさんの場合は結婚したらとか子どもを持ったら変わるのではないかと思ったそうですが結果的には心の性別は変わらなかったとおっしゃっていました。
長年連れ添った男性として見てきた夫がカミングアウトしたときは妻はどのように受け止めていけばいいですか。
針間:夫の側からすれば自分が性同一性障害で女性として受け止めてほしいと思うんでしょうけれどもやはり妻の側から見たら男性と結婚したのであって女性と結婚したわけではないですから、それを受け止めてと言っても難しいなと。
内藤⇒1年で違う関係を築けるのならば人として関係を築けるのは倍ですよね。
質問がきています。
カミングアウトはどういうことですか。
針間:告白するということです。
自分が性同一性障害ですと告白するということです。
家族愛が芽生えているわけじゃないですか。
簡単に離婚しましょうとかそういうわけにもね。
家族としてはいかなくなります。
どう向き合ってどう家族として生活していけばいいのかということですね。
奥様もインタビューに答えてくださって本当にありがとうございました。
高橋⇒ここからもう一人参加していただきます。
杉山文野さんにお越しいただいています。
杉山さんは女子フェンシング元日本代表で現在は男性としてメディアで活躍しているミサキさんとは反対のFTM体が女性で心が男性の方です。
杉山⇒一応女子として生まれまして生まれたときも下はついていませんでしたし今もついていません戸籍上は女子です。
今は次女という表記になっています。
イケメンですね。
有働⇒イケメンなんですよね。
山口⇒お会いしたとき全然分からなかったです。
これで分かってもね。
家族にカミングアウトしたときはどうですか?最初はもめました。
頭おかしいんじゃないか病院に行きなさいということもありました。
親との関係もあったんですけれども今はすごく仲よくなって周りの家族とも周りの友達とも仲良くなりました。
最初はぶつかると思います。
セクシャリティーというのはその人のセクシャリティーがその人のすべてではありません。
その人の生活すべてに関わっていきます。
うそをつき始めるとすべてにうそをつかなくてはなりません。
ストレスがつきまとわれるので話す内容とかは素直に周りと話してコミュニケーションをとったほうが周りにとっても当事者にとてもとってもいいと思います。
内藤⇒戸籍上を変えなくて不便なこと、あると思う、それは思わないのかなと。
杉山⇒僕が今、女子ということで去年選挙に行ったんですけれども、選挙に行ったときに、はがきを持っていって、受付で違いますと言われて私は性同一性障害ですといえば大丈夫です。
そのことばが広まってきたので失礼しましたと言われました。
去年海外旅行に行ったときに僕はパスポートの性別がFemaleです20時間ぐらい待たされたあげく入国拒否になりました。
いくつか守らなければならない法律があって、僕は手術していないです。
おっぱいはタイでとったたんですけれども子宮と卵巣が残っています。
それだと日本では戸籍変更ができません。
戸籍変更については9時台でお伝えします。
子どものGID周囲はどう向き合ったのかお伝えします。
石川宗さん、16歳。
現在は、男子高校生として通学していますが3年前の名前は石川まりあ、女の子でした。
3年前に性同一性障害と診断されたのを機に改名。
男として生きていく決意を固めたのです。
高校に入学1か月後みずから性同一性障害をクラスメート全員に告白した宗さん。
やめてよ、それはやめてよ!告白されたときの感想を友人たちに聞いてみました。
宗君!現在は、女性としての成長を止めるホルモン治療を開始したものの体は女性のままの宗さん。
学校は特別に専用のトイレを用意しています。
内藤⇒宗君も先生もすてきですね。
性別って社会が決めるようなところがあると思うんですよね。
若い子たちは、男と女以外の性別多様性を持っている体で感じている感じがするな。
二分にしなくてもいいんじゃないか。
いろんな人たちがいてもいい。
個性の1つとして捉えればねつきあっていけるのかなと思います。
性別についてご指摘をいただきました。
MTFの方からです。
中学校は私立男子校でしたがその後女子として高校に入学しましたこの内容での意見にいる、「あさイチ」のEメールで応募していただくときに男女で分けているんです。
われわれ配慮が至りませんでした。
山口⇒学校のように受け入れてくれるようなところがあればのびのびとできるんですね。
環境で大事だなと思いました。
内藤⇒どうなんですか?杉山⇒僕の場合は女子校でした。
12年間セーラー服を着ていました。
学ランを着たいと思っていたんですけどね。
宗君はうらやましいなと思いました。
VTRで、女心も男心も両方分かってとありましたが、私も、注射を打つ4年前は、生理もありました。
女の子に生理のつらさが分かる彼氏はいないでしょ?と言っていたんですが、女心がもっと分かるんだろうと思っていたと言われたことがあったんです。
内藤⇒ご家族はどうだったんですか。
最初はもめて母は頭が混乱してしまって私がボーイッシュに育てたのがいけないんじゃないかと自分を責めたんですね。
父親はそんなこと、問題ないよ。
好きなようにやればいいよ、ということで言ってくれたんですね。
だけど全然分かっていなくて思春期の気の迷いだと思っていたそうです。
どうせ男と結婚するんだろうと思っていたらしいですね。
分かったとき、お父さんはどうだったんですか。
なかなか話しても分からなくて何でおやじが分かってくれないんだと、思っている時期もあったんです。
会話がかみ合わなかったときに分からないのが普通だなとそれは僕が分かろうと思ったんです。
いつまでも分かってもらえないのは嫌なので何度もちゃんと話すことが大事なんだなと思って本を渡して読んでもらったりとか、今はすごく仲よくやっています。
宗君のようなケースというのはあの年代から自分がちょっと違うかもしれないというのは増えているんですか?針間⇒僕は学校の先生のところに講演に行くことがあるんですが、養護の先生やスクールカウンセラーさんに性同一性障害じゃないかと生徒さんに相談を受けたりとかそういうのが増えているんです質問を講演会のあとに受けるんです。
宗君も診断されているんですよね。
宗さんはサングラスをかけていましたね。
高橋⇒宗さんはさらに脳脊髄液減少症という病気を患っていて、光が目に入ると頭痛が起きるため常にサングラスをかけています。
有働⇒宗さんのケースは理解してもらえる環境になって、ご本人も変わったんですか。
針間⇒家族の理解がありましたさらに学校の理解があって明るくやっています。
多くの場合は家族にも言えない理解が得られない。
そういうことで学校でも理解が得られないということでつらい思いをして、学校に行けなくなったり、リストカットしたり、不安定になる方もいます。
トイレもそうですよね。
分けられていますからね。
学校での宗さんの様子見ていただきました、家族でどう見守ってきたのか母の直子さんにお話を聞くことができました。
13歳で性同一性障害と診断された石川宗さん。
幼いころから、男の子の服しか着ようとしなかった、わが子を母の直子さんはずっと心配していたといいます。
さらに、思春期にさしかかると自分の体の性への違和感が高まります。
中学校ではセーラー服を着ていくのが耐えられなくなり学ランでの登校を求めました。
しかし。
そういうようなことももしかするというようなことも頭をかすめたですよね。
セーラー服を、どうしても着ることができないと悩むわが子を前に、母の直子さんは8か月間にもおよぶ交渉を重ねついに学ランでの登校が許されました。
最初に着用が許された学ランは今でも大切な宝物です。
やっぱり子どもが幸せなのがいちばんいいですよね、親の気持ちもあるし。
山口⇒さっきもおっしゃっていましたが、私ももし子どもがそうだったら自分をまず責めると思います。
私の責任かなって思っちゃうと思うので。
でも子どもの人生が自分らしく、自分のための人生であってほしいと思うので格闘しながらも応援してあげたいなという気持ちがありますね。
8か月間も闘ったというのはね。
同じようなお母さんからファックスをいただいていますわが家にもFTMの子どもがいます。
今は社会的には男性として暮らしています。
子どもから初めて打ち明けられたときは驚きました親がしかったり泣いたりしても変えることができません、世間からの偏見などで苦しむ子どもをせめて、家族だけが味方でいたいと思うと、すんなり受け止めることができました、祖父母や、おじやおば親戚に知らせるべきかどうか、今も答えが出ていません。
北海道の50代の方からいただきました。
高橋⇒宗さんの幸せのためにお母さんは交渉されていましたね。
杉山さんは相談を受けていたそうですね。
7年ぐらい前にまた性同一性障害ということばが世に広まっていないときにカミングアウトの本を出したんです。
すごく反響がありました。
1000通を超えるようなメールです。
全国旅をしてメールをくださった方に会う旅をしていたんですね。
そのときに鹿児島で宗君のお母さんから助けてくださいと会いたいですというメールがきました。
悲惨な感じなのかなと思って会いに行ったんですがお会いしたら、あんな感じで親子関係がよくていちばん大変なのはその存在を否定されることは当事者にとってはつらいんですね。
あなたがおかしいと言われるとあなたから生まれたのに、と思うんですね。
お母さんは、まりあはそうだと、受け入れたんですね。
宗君だと受け入れたんですね、それで前に進めました。
まず自分を責めると思うと山口さんはおっしゃっていました。
親だからこそ許せること、許せないことがあると思うんですね。
自分を認められない分、子どもにそうであってほしくない。
そうであるはずがない自分に責任転嫁があったりするんじゃないかなと思うんです。
次々にお母さんからきています。
息子や娘が、そうなんじゃないかな。
男なのに、女の子の遊びや洋服を好んでいます。
兆候というか、どういうふうに分からせればいいんですか、ということでした。
高橋⇒今回取材して見えてきた性同一性障害と診断されるきっかけになるそのポイントがあります。
男の子なのに、スカートをはきたがるということです。
女の子だったら胸が大きくなってくるのをすごく嫌だったりということです。
一部の兆候ですか。
針間⇒せっかく作っていただいたんですが、子どもにはよくあることなんです。
性同一性障害が話題になって、子どもがそうじゃないかと過剰に心配する親御さんもいるんですね。
多くの場合は、自然とそういうことがなくなってくるんです。
慌てることはないと思います。
ファックスもきています。
針間:異性と恋愛ができないということで性同一性障害じゃないかと思い込んでいる方がいらっしゃいます。
同性愛の方がそうじゃないかと混乱することも時々あります。


きょうの「あさイチ」は家族で向き合う性同一性障害についてお伝えしています。
お母さん方から、たくさんファックスをいただいています。
まさに、小学1年の息子がそうです。
2年くらい前から女になりたかった、こんなちんちんなくなればいいのになどと言っています。
女に変わりたいなどと言いだしたときにはどうしたらいいんでしょうか。
針間⇒小学校低学年、幼稚園小学校低学年ぐらいまでは性別に関してはいろんなことを言ったり試したりするのでそれは本当に、見守ってあげればいいと思います。
6歳から、7歳くらいまでですね。
思春期の始まり、中学生になるころにも、そういうことがあれば大人になっても性同一性障害である可能性が高くなってきます。
そういうときは、親はどう向き合えばいいんですか。
思春期になってから。
針間:思春期になっても、子どものほうから何かを言ってこないかぎり基本的には見守ったほうがいいと思います。
学校にいけないとかリストカットをしたり気持ちが不安定になるとかしたら、親のほうからどうしたのと声を掛けたほうがいいと思います。
見守るけれど性同一性障害同性愛も含めて、セクシャルマイノリティーに理解があるという態度で示したほうがいいと思います。
態度で示すというのはどういうふうに?
針間:テレビでオネエの人が出てきたりとかオナベの人が出てきたときは、こういうの気持ち悪いなと言わないように注意したほうがいいと思います。
ご意見もあります。
沖縄県の10代の方です。
自分は体は女、心は男の性同一性障害当事者です。
現在18歳ですが、中学高校と制服がスカートでした。
毎日が苦痛の連続で、死にたいと思ったことが何度もありました。
性別はナイーブな問題であり、家族にカミングアウトするどころか相談することすらできないまま今もボーイッシュな女として過ごしています。
早く本当の自分で生きていきたいと願っていますということです。
子どもの側から苦しんでいても言い出せないときというのは、親としてしてあげられることはあるんですか。
針間:何て言うんでしょうか理解があるよという態度で示すことは大事ですが、あまり煮え切っていないときに、あなたは性同一性障害じゃないの?と言うと、かえって混乱してしまう人によっては病気扱いされたということでショックを受けたりということもあります。
難しいです。
内藤⇒お医者さんを受診するときは、いつかということにもなりますね。
その辺の線引きはあるんですか。
針間:ご本人が、受診したくなったときだと思います。
冒頭で性同一性障害は生まれつきや、環境と言ってましたが、環境というのはどういうことでしょうか、うちの息子は小学校1年生で、女の子とよく遊んでいるんですが、という意見です。
針間:あまり神経質になることはないです。
こんなふうに生んでしまったからとか、こんなふうに育ててしまったからと親御さんはすぐに思いがちですが、100%何かが原因、ということはなくて、生まれつきそういう傾向を持って環境というのは、育て方だけではなくて、人間関係もそうですし友達もそうですし、社会的な理解だとかこういう情報番組も含めていろんなことをひっくるめて、人のアイデンティティーは育っていきます。
あまり1つの原因だけに目くじらを立てることはありません。
親は、自分を責めてしまいますからね。
高橋⇒続いて見るのは性同一性障害を理由に社会的な差別を受けることです。
当事者の皆さんがインタビューに応じてくれました。
集まっていただいたのはこちらの3人。
ひとみさん、よりさんめいさんです。
共通して感じているのは就職の難しさです。
診断を機に、20年以上勤めた会社を退職せざるをえなかったひとみさんです。
よりさんもまた、就職活動で嫌な思いをすることが続いているといいます。
2人とも現在、無職。
将来どうなるのかという不安が拭いきれません。
また、男性からはこんな、ぶしつけな質問を投げかけられることも。
また、めいさんは社会で生きていくには見た目が重要だといいます。
それはそうですね。
それは思いますね。
さらに、ひとみさんは、以前勤めていた会社を退社する際にもこんなことが。
彼女たちのように、診断後女性として生きていこうとしても社会が受け入れないことも多いといいます。
性同一性障害の患者を多く診療している病院を訪ねました。
MTFの人たちの社会的差別に詳しい医師の中塚幹也さんです。
そんな現状を改善しようと岡山大学病院ではMTFの人たちのためのボイストレーニングを行っています。
多くのMTFの人にとってネックとなるのが声。
言語聴覚士が声の出し方や話し方の指導を行います。
こんにちはきょうもよろしくお願いします。
さらに、病院ではメークアップアーティストによる講習会も実施。
スキンケアの基本から厚塗りにならないメーク法まで丁寧に指導していきます。
この日もメークの悩みを持つ人がやって来ました。
目がぱっちりと見えるアイメークを知りたいといいます。
果たして、その出来栄えは…。
内藤⇒社会が性を決めるのは、らしさ、なんですね。
らしくなければいけないという、そんなに男らしさ女らしさ、必要なのかな?もっとグラデーションがあっていいと思うんだけど。
自分の望む性での仕事に就きたいと思ったんでしょう。
ひげを生やしたりするのはそういうことなの?男であるという自分の意志も含めて外見って必要なのかな?
杉山⇒やっぱり悲しいかな見た目じゃないよとみんな言っても見た目が重要で僕がどんなに性同一性障害で、心は男でというよりも何も言わないで、ひげを生やして立っているほうが分かりやすい。
セクシャリティーは内面のことなので僕は去年の4月まで一般企業で会社勤めをしていました。
うちの会社はとにかく仕事をしてというところでしたね。
人と同じことやっても、しょうがないんだよ、というタイプで、逆にかわいがっていただきました。
でも、セクシャリティーのこと、就職のときに面接で言ったら、みんな30分やっている面接を1人、5分で打ち切られたということはよくあることです。
高橋⇒ひとみさんも退職せざるをえなかったということです。
続いては性同一性障害の方が結婚を考えたときの問題です21歳のFTMの方を取材しました。
女性の体を持って生まれた佐藤さん。
半年前、FTMと診断されました。
職場にもカミングアウトした佐藤悠祐さんには今、大きな目標があります。
その理由となったのがつきあって1年半になる彼女の存在です。
悠祐さんからの3か月間にわたる猛アタックの末つきあうことになりました。
彼女がお泊まりするときは得意の料理で、もてなします。
ところが、悠祐さんが彼女と結婚するためには越えなくてはいけない大きな問題があります。
悠祐さんは、まだ戸籍上は女性。
同性婚が認められていない日本では、結婚できないのです。
実は、10年前に制定された性同一性障害の特例法では悠祐さんの場合戸籍を男性に変更すれば女性と結婚をすることが可能です。
ただし、戸籍を変更するためには20歳以上であることや婚姻をしていないことなどの5つの条件が設けられています。
特に高いハードルとなっているのが子宮や卵巣、こうがんなどの摘出手術をして生殖の機能を持たないことなど2つの項目です。
そのためには数百万円かかるといわれる性別適合手術を受けなくてはならないのです。
悠祐さんは、今、手術の費用を毎月の給料の中からこつこつと貯金しています。
現在は、ホルモン治療を開始。
念願のひげも生えてきました。
ことしの秋には乳房を切除する手術を受けようと思っています。
一方、そんな悠祐さんの決意に大きな危惧を抱いている人がいます。
悠祐さんの両親です。
山口⇒やっぱり越えなくてはならない壁は厚いですよね。
有働⇒ご両親の心配も分かりますしね。
でも本当にすてきなパートナーが。
支えてもらっているし、支えていかなければいけないという人と出会えたというのはすごくすてきなことですよね。
高橋⇒彼女と悠祐さんが結婚するためには、現在の戸籍上が女性であるのでそれを変えなければいけません。
性同一性障害者の、性別の取扱いの特例に関する法律です。
ある一定の条件を満たせば戸籍が変更できるようになっているんです。
条件が5つあります。
この5つの条件。
4つ目と5つ目の条件を満たすためには、性別適合手術を受けなくては、ならないんです。
どうしてこうした条件が必要となってくるんでしょうか。
針間⇒4番に関してはFTMで女性から男性に、戸籍の性別が変わった場合、もし子宮、卵巣が残っていればひょっとしたら妊娠して赤ちゃんを産んでお母さんになってしまうかもしれない。
戸籍上男性がお母さんになるとか逆にMTFであれば女性を妊娠させてお父さんになるかもしれない。
社会的混乱を避けるためです。
子どものためというより社会を混乱させないためです。
女性になってももし男性外性器が付いていたとしたら自分が女性だから女風呂に入ると言ったら、公衆浴場は困ります。
社会の混乱を防ぐために、4番と5番があります。
病気、疾患というなら、手術に保険は使えますか?
針間:今は使えません。
お金がないからです。
手術というのは何歳ごろ受けたらいいんでしょうか。
針間:胸のおっぱいを取る手術は18歳からできます。
副作用も心配なさっていました。
針間:おっぱいを取ることに関しては手術そのもののリスクぐらいです。
子宮、卵巣を取ったり男性生殖器をとる場合には手術そのものの合併症もあるしもともとのホルモンが体からなくなるということで作用はあります。
質問です。
自分は今、性別が迷子です。
同性愛なのか、性同一性障害なのか診断してもらうにはどこに行けばいいんですかという質問です。
針間:簡単に言えば、うちに来ればいいんですけど本人が迷っているときは、僕のところに来ても分かりません。
本人が悩んで迷っていろいろ試して。
自発的になったときはそのときだと。
先生のところに行けない方は何科に行けばいいですか。
針間:基本的には精神科ですが、精神科で日本で診てくれるところは少ないので、中学生とか高校生であれば、とりあえずスクールカウンセラーさんや、学校の養護の先生に相談するといいと思います。
本人は、どう気づいていくんですか。
針間:自分が同性愛なのか男になりたいのか女になりたいのか。
時間がかかるんですね。
分からないままの人ともいます。
定まらないセクシャリティーもあります。
性同一性障害と同性愛しかないのではなくて、多様性があります。
そのほかにも、たくさん皆さんから質問がきています。
番組の最後に伺っていきます。


有働⇒きょうは450通を超えるファックスメールをいただきました。
ファックスご紹介の前にVTR中の文字ですが葛藤という文字が間違っていました。
失礼しました。
質問からまいります、京都府20代の方からです。心に性別はあるのですか。
針間⇒心は見えないので分かりづらいんですが自分を男性だと思っている、女性だと思っているということは、ありますね。
一般の方は、そんなことを認識しないのであまりに自然なことなので感じないだけです、性同一性障害の方は、自分ではっきりと感じています。
東京都30代の方からです。心の性別を変える治療は出来ないのですか。
針間⇒心の性別は人間の本質的、根幹的なところです。
変えにくいというか、かつて精神科ではいろいろな方法で心の性別を変えようとしていました。
そういうことをして、電気ショックを与えたり。
全部うまくいかなかったので変えられないということで体の性別を変えるほうが、本人たちの苦悩を和らげるということです。
女性からのご意見です。心の性別が女性なのに、どうして子どもが作れたのですか。
針間⇒難しい質問です、主に2つ理由があります。
1つは、頑張るということ。
気合いで性行為をする。
そのパターンと結婚した当初は性別に違和感はなくて、性交渉して子どもができたけど、そのあとに違和感が出てくるパターンです。
小学校の教員の方からいただきました。先生の注意すべきことは。
女々しいとかおとこ女ということでいじめられたりします、いじめられる原因が女っぽいからとかというのに先生が加担しないことです。
杉山⇒保健室にセクシャリティーの本があるといいですね。
手術について性同一性障害の人が、みんなしなくてはいけないわけではありませんホルモン注射だけでもいいという方もいます、おっぱいは切りましたが、子宮と卵巣は残っています、戸籍上は女子です。
目に見えるところを切って、生理もとまっています。
今の状態で満足しています。
戸籍の変更のために手術をする制度に合わせるために体を切るというのは、本末転倒だと思っています。
有働:夫が隠れて女装しているようですが、性同一性障害ですか。
針間⇒これだけで分からないんですが楽しみでやってる人も隠れています。
オープンで知っている方もいます。
性同一性障害の方の中にはたくさんいます。
その可能性があります。
2013/02/13(水) 08:15〜09:55
NHK総合1・神戸
あさイチ「自分らしく生きたい〜性同一性障害〜」[字]

▽もし“娘”が男子生徒になりたいと言ったら? 夫の心が女性だったら ▽家族で向き合う性同一性障害 ▽法の壁【ゲスト】山口もえ内藤剛志精神科医…針間克己ほか

詳細情報
番組内容
【ゲスト】山口もえ内藤剛志精神科医…針間克己,杉山文野,【講師】料理研究家…門倉多仁亜,【キャスター】井ノ原快彦,有働由美子,駒村多恵,【リポーター】古原靖久,高橋さとみ ※「解決!ゴハン」はデータ放送 <中断>9:00−9:05 [字]ニュース・気象情報
出演者
【ゲスト】山口もえ内藤剛志精神科医…針間克己,杉山文野,【講師】料理研究家…門倉多仁亜,【キャスター】井ノ原快彦,有働由美子,駒村多恵,【リポーター】古原靖久,高橋さとみ