17歳、自分が女性と思えず

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人生相談
17歳、自分が女性と思えず



 17歳の学生。体は女です。でも、自分の性別に自信が持てません。

 自分の一人称は「俺」。「私」と呼ぶのに、いまだに抵抗感があります。昔から人に対して「テメエ」「黙れ」などと話し、口調は男子以上に悪いです。ただ、髪は昔から長く、最近は婦人服を着るのにも抵抗がなくなってきました。化粧にも度々挑戦しています。中学生時代には男性アイドルグループのファンになったこともあります。

 もっとも、同世代の一般的な男子は大嫌い。関わりたくなくて、今は同じクラスの男子と年に2、3度しか話しません。男子が嫌になった頃から、女子のことを好きになり出しました。

 こうした話は親にも友達にもしたことはありません。こんな自分でも女子といえるのでしょうか。これは一種の性同一性障害なんでしょうか。自分をありのまま受け入れてくれる人がいるのか、気になります。(東京・Y子)


 自分が女性であることに違和感があって、本来なら男性であるべきだと感じておられる。まさにこれは「性同一性障害」の心理と言えましょう。

 ただ、女性の装いに抵抗感がなくなり、男性アイドルのファンになるということからすると、女性らしさが育まれつつあるのかもしれない。それに男性を嫌悪し、逆に女性を好きになるというのも、若い女の子に一過性に見られる傾向です。

 つまり、成長の過程でありがちな現象なのかもしれません。これは現状では、自分を特殊だと強く意識して、治そうと格闘するよりも、「好きは好き。嫌いは嫌い」と自然体で青春を楽しめばよいのだと思います。

 ただ、ずっと大人になって違和感がさらに強くなるようなことがあればどうすればよいか……その段階でまた相談してください。

 ちなみに現在の医学的な考え方を簡単に説明しておきます。性同一性障害に対しては、「異常な考えを正す」という方向の治療ではなく、感性の問題として捉え、苦しみが強ければ、その人が違和感を持たない性になる方向、たとえば外科的治療なども慎重に検討した上で行われるようになっています。

 (野村 総一郎・精神科医

(2011年6月29日 読売新聞)