性同一性障害のエスノグラフィ

性同一性障害エスノグラフィ』拝読。


パス、女装との区別、レズビアンのタチとの区別、「正当な当事者」、医療化の功罪、など興味深いテーマについて、当事者達がどうとらえているかを、当事者へのインタビューを詳細に分析することで論じている。
性同一性障害の本は、個人的な主張、体験を主観的に述べているものが多いが、これは無名の多数の当事者に聞いていて、より現状をリアルに示している。
今読んでも、もちろん興味深いのだが、将来、研究者たちが、この本を読んだとき、今の時代の当事者の言説を知る上での貴重な文献になると思う。
著者の鶴田さんは、1997年ころより現在に至るまで、どこに行っても必ず会う神出鬼没ぶりだったので、そのぼう大なエネルギーが、この本に濃縮されているとも言える。
おすすめの一冊。

性同一性障害のエスノグラフィ―性現象の社会学 (質的社会研究シリーズ)

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