MTFへのホルモン投与の種類と方法

Principles of Transgender Medicine and Surgery、291-292の翻訳
HERSやWHI(大規模臨床試験)では経口の結合型エストロゲンプレマリン)(CEE)を用いた。経皮的投与が、血栓症リスクの軽減に関連することが示唆され、それは肝代謝の違いによるとされているが、他のエストロゲン製剤である、17βエストラジオール(E2)の使用によるためかもしれない。比較的少数研究が示唆するところでは、CEE使用女性では血栓症のリスクの上昇が見られたが、経皮E2使用者では見られなかった。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12706932?ordinalpos=21&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum
また喫煙者における、血管の交感神経系を反映する測定値の減少が、経口CEE使用者に比較し、経皮E2使用者で見られた。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14704262?ordinalpos=57&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum
これらの知見は、経口と比較し、経皮の投与を、女性へのホルモン補充として使用すべきことを示唆する。しかしこれらの研究は、投与方法が違うだけでなく、用いたエストロゲン製剤の種類も異なる。


TS女性への、少数のホルモン治療研究の中で、Tooriansらは、酢酸シプロテロン(アンドロキュア)単剤と、酢酸シプロテロンに加えて、経皮E2、経口エチニルエストラジオール(プロセキソール)(EE)、経口E2を用いた場合の、静脈血栓症に関連するデータ値の効果測定の比較測定を行った。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14671159?ordinalpos=6&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum
酢酸シプロテロン単剤と、酢酸シプロテロンに加えて、経皮E2、経口E2を用いた場合は、静脈血栓症に関連するデータへの影響はわずかであったが、経口エチニルエストラジオールを使用した場合には、活性蛋白C抵抗、血漿蛋白C、血漿蛋白Sの有害な有意な影響を認めた。著者は「EEの前血栓症効果は、肝臓を最初に通過することよりも、その分子構造に原因がある。・・・この違いが、MTFにおいて、EEを使用するものが、E2を使用するものより、高い血栓症リスクにさらされることの説明になるかもしれない」と結論づけている。


治療プログラムが用いる、エストロゲン製剤の種類の変更は、比較的広範なオランダのデータにおける、TS女性の血栓症および死亡率の減少を説明するだろう。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9373456?ordinalpos=6&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum
長期にわたり年配のTS女性を追跡した調査は乏しいが、観察された死亡率が。平均オランダ女性の平均値を超えるものでないことは、勇気づけられることだ。