BSTc、その2

あまり知られていないが。
SwaabらのBSTc研究には続きがある。
“Male-to-female transsexuals have female neuron numbers in a limbic nucleus.”
http://jcem.endojournals.org/cgi/content/full/85/5/2034


1本目の論文がはBSTcの大きさを調べたものに対して、これはBSTcの神経細胞数を数えたもの。結果は、女性並の少なさだった、というもので1本目と似たようなものだが。


2本目も一応チェック。
やはり、去勢前のMTF1例のBSTcも女性並の神経数の少なさ。
また、対照男性の去勢後3か月の2年の2例は、それぞれ男性並、と男性以上の大きさ。


ということで、ここでも「BSTcは、去勢後収縮する」という仮説を積極的に支持するものはなく、「BSTcの大きさ、神経数はgender identityと関連がある」という説はそれなりに妥当か。


ただ、この論文でむしろ気になったのは、去勢後2年の対照男性のBSTcが、去勢してない男性より神経数が多く、全例中最高値だったこと。
もちろん、たまたまかもしれないが。
この去勢者は、もともと前立腺がんがあっての去勢。
で、前立腺がんの原因は、アンドロゲン感受性が高いためという説を小耳にはさんだことがある。
もしそうであるとして。BSTcもアンドロゲンの影響を受けるとしたら。
アンドロゲン感受性の高い人であれば、前立腺がんになるように、BSTcも肥大・増殖する、なんてことはないのかな。
まあ、こんな考えは、エビデンスも何もなく、仮説と言うより、文系くずれ精神科医の妄想にすぎないのだが。