第11回GID学会報告 2日目。

旅疲れ、2日酔い、花粉症薬の過量服薬で中川大臣状態の2日目でしたが・・・。

結局190名ほどの出席者。


9:30‐10:10 一般演題3
    座長 中根 秀之
       (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻展開医療科学講座精神神経科学)
   11. 47XXXの性染色体異常が見つかったFtMTSの1例
     
    ○渡邊尚子1)中根秀之2)越本莉香2)安藤幸宏3)一ノ瀬仁志2)木下裕久1)
    井上統夫4) 増崎英明4) 小澤寛樹2)
    1)長崎大学医学部・歯学部附属病院 精神神経科
    2)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療学専攻展開医療科学講座精神神経科
    3)長崎県離島医療圏 上五島病院
    4)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻展開医療科学講座産科婦人科学


47XXXと46XXのモザイク。アスペルガーGID.


感想:これまで600名位のFTMの染色体は見てきたと思うが、XXXは1例、モザイクでXXXを含むもの数例と記憶。X0やXXYとは違い、XXX、特にモザイクでは臨床的意味はあまりないのではと思っている。
本例ではASとの関連のほうがむしろ興味深い。
なお一瞬映った病歴スライドで「X+5年:戸籍変更、改名」とあったが、SRSはしてないようなので、戸籍変更とは改名のことか?


   12. 適応障害を合併し入院加療を要したGIDの3症例
   
    ○稲田貴士 堀貴晴 木下真也 康純 米田博
    大阪医科大学総合医学講座神経精神医学教室


家族等と不適応を起こし入院。男子、女子、どちらの病棟に入院するか。


感想:ホルモン療法が、ガイドライン上適応と判断されたのか否かが知りたかった。
個人的には、TM病院勤務時代、FTM3名、MTF2名の入院を受け入れた経験あり。FTMは男性扱いでトラブル少ないが、MTFは女性扱いでトラブルおきやすい。


   13.性同一性障害GID)患者に生じた適応障害にガイドライン第1段階の精神科治療が奏効した1例
   
   ○引地孝俊 森亜由実 河野寿恵 河野伸子 江藤裕子 寺尾岳
    大分大学医学部付属病院精神科


不登校中学生MTF.精神療法+診断で、女子扱いで高校に進学し明るくなった。


感想:最初の頃診察時にほとんど話さなかったということだが、抑うつからだけでなく、声変わりの嫌悪からくる、緘黙の可能性もありか。
個人的には、こういうときには、パソコンに自分でキーボード入力させると、診察がうまくいくときあり。


   14.エディプス期における親への同一化と近親相姦的リビドーから考察する
     性自認と性指向、パーソナリティ障害の関連
    
    山岡 純也
    性指向・性自認のセクマイ当事者による研究会


http://masagid.blog95.fc2.com/
参照とのこと。


感想:独創的でした。


  10:20‐11:00 一般演題4
   座長 織田 裕行(関西医科大学精神神経科学教室)

   15.大学生に対する性同一性障害講義の効果
 
  ○池田官司1)2) 塚本壇2) 畠山茂樹2) 舛森直哉2) 遠藤俊明2) 向井聖子1)
  1)北海道文教大学人間科学部作業療法学科2)札幌医科大学附属病院GIDクリニック


講義後ポジティブな効果。


感想:講師が良いのでしょう。


   16. 小・中学校の教員における性同一性障害に関する知識と性別違和感のある子どもへの対応
  
  ○菊池由加子1 新井富士美1 佐々木愛子1,2 小谷早葉子1 松田美和1,2 中塚幹也1, 3
  1)岡山大学病院ジェンダークリニック産婦人科
  2)岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 3)岡山大学大学院保健学研究科


知ってる人は多いが、同性愛と区別がつく人は少ない。


   17.GIDにおける高齢化問題

    太田正  GIDの老後をよくする会


施設入所のとき、男女どっちではいるか。


   18.生殖細胞を自分の性に合わせたIPS細胞の利用の検討
  
   丹野まみ 
http://www.eonet.ne.jp/~gazigazi/mami/mami.html
参照。


MTFは、IPS細胞を利用して、卵子を作り、子宮移植をすれば妊娠できるようになるのでは?


感想:技術的なことはよくわからないが、子宮はFTMのを移植するのかな・・・。


  11:10‐12:10 シンポジウム2 「GIDと法」
  
  座長 大島 俊之(弁護士法人淀屋橋・山上合同)
   GIDをめぐる近年の法的諸問題     大島 俊之(九州国際大学法学部)
    子無し要件をめぐる私の裁判      大迫 真実

裁判がマスコミ報道されて、世間にアピールして法改正につながった。


   地方からの取り組み〜生駒フォーラム〜
 森村 さやか(性同一性障害特例法の改正を求める会)

フォーラムに民主党国会議員が出席して法改正につながった。


   弁護士から視える性同一性障害と社会の接点(当事者とともにたどった道すじ)
      鈴木 隆文(弁護士)

有名なS社事件を始め、さまざまな性同一性障害の事件の代理人をしてきた。
アライズ総合法律事務所
http://www12.ocn.ne.jp/~allies/law/index.html


感想:鈴木弁護士のいろいろな事件をもう少し聞きたかった。


          ―――――――昼休み(65分)―――――――
  13:15‐13:30 総 会

しゃんしゃんと終了。


  13:30‐15:00 特別講演 「性同一性障害二十年のあゆみ」
  座長 中根 允文 
         (長崎大学 名誉教授)
  講師 虎井 まさ衛(オフィス然nature)
20年間あんなこともこんなこともありました。


この辺で、撤退しました。すいません。
全体としては、コタツに入ってみかんを食べながら見る演歌番組のような学会でした。
原科先生の姿も見えず、第10回の頃に感じた「曲がり角」を、本当にもう曲がってしまったんだな、とも思いました。


参加者の皆さん、長崎大学医学部の皆さん、お疲れ様でした。


来年は2010年3月6日7日、札幌、学会長池田官司先生の予定。


帰りの飛行機、うみぼたるの夜景がきれいでした。