思いを言葉に 下里さん、英語弁論日本一

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081123-00000001-ryu-oki
思いを言葉に 下里さん、英語弁論日本一
11月23日8時25分配信 琉球新報

 東京有楽町のよみうりホールで22日に開かれた高円宮杯第60回全日本中学校英語弁論大会(読売新聞社など主催、コカ・コーラ協賛)の決勝大会で、南風原町立南星中3年の下里豪志(たけし)さん(15)が1位に輝いた。
 下里さんは「I Am Takeshi(私は私)」と題してスピーチ。性同一性障害で、好奇の目を向けられてきた体験を明かす一方、ピアニストになるという夢を熱っぽく語った。

■自分が自分らしく 1位下里さん/車いす仲間の代表 4位吉田君

 東京都内で開かれた高円宮杯第60回全日本中学校英語弁論大会で、性同一性障害を告白し、自分らしさを大事にしてほしいとするスピーチで1位に輝いた下里豪志さん(15)=南星中3年。「ピアノ演奏で人々に笑顔を届けていけば、ピアニストとして評価され、障害は個性の一つとして見てもらえるようになる」という思いを主張した。下里さんは受賞後「自分が自分らしくいることが大事なんだよ、という主張がみんなに感じてもらえたと思う」と話した。
 下里さんの父(49)は「豪志の自分は自分なんだという思いが届いた結果」と喜んだ。母の倫子さん(50)は下里さんが小学生のころから、本人の意思を尊重し、着たい服を着せるなど女の子として育ててきたという。「豪志は(性同一性障害で)悩む人が、普通に生きられる時代になるよう主張していく役割を担っているのではないか」と話した。
 一方、同大会では県立鏡が丘養護学校中学部2年の吉田伸吾君(13)も全国4位に輝いた。吉田君の演題は「Thankful for Everything I Can Do(自分でできるって素晴らしい!)」。骨が弱いため車いすで生活する吉田君は、交流行事で訪れた地元の小学校で、段差をうまく通れずに苦労し、惨めな気持ちになった体験を語った。
 介助なしに食事ができたり、自由に行動できたりすることを当たり前だと思ってほしくないというメッセージをスピーチに込めた。4位入賞に「養護学校の友達、車いす生活をしている仲間の代表と思って出場したので、とてもうれしい」と顔をほころばせた。
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-11-23-M_1-025-2_001.html?PSID=ef5dcc1ae1a6eb722e0851964b918ebf
沖縄タイムス 11.23.
真っすぐな訴え届く/英語弁論快挙/下里さん・吉田君笑顔

 【東京】「自分に自信を持って生きてほしい」「仲間の気持ちを代弁したい」―。高円宮杯第六十回全日本中学校英語弁論大会で二十二日、優勝した下里豪志さんと四位入賞した吉田伸吾君。周りと違う“個性”を持つ二人の素直な思いは聴衆に静かな感動を呼び起こした。会場で見守った親や恩師らは「堂々とした素晴らしいスピーチだった。とてもうれしい」と目に涙を浮かべた。

 優勝トロフィーを手にした下里さんは「ここに来られただけでうれしいので緊張しなかった。結果を考えずに良いスピーチを心掛けた」と静かに語った。

 「自分に自信をなくして外に出ない人がいるなら、自信を持って出てきてほしいと伝えたかった。自然体で伝えたことが高評価につながったと思う」

 授賞式のレセプションで来賓の皇太子さまと歓談。「オペラハウスの舞台に立てるピアニストになりたい」と下里さんが話すと、「頑張って」と声を掛けられたという。

 下里さんを指導したビリー・ジョンさんは「聞いていて涙が出てきた。今後も体験を伝えてほしいし、彼は素晴らしいピアニストになると思う」と話した。

 吉田君は「悔いが残らないようスピーチした。うれしさや悲しさなど感情表現もうまくできた」と顔をほころばせた。

 障害のある鏡が丘養護学校の同級生らを思いながら、同校を代表して弁論に臨んだ。「一生懸命生きること。思いやりを持ち、あきらめず、目標を持って努力する。みんなが毎日そう思って生活していることを代弁したかった」

 父の努さんは「(障害のない)一般の子と一緒に堂々と参加している姿を見てうれしかった」と声を詰まらせ、「障害のある人に勇気を与えられたと思う。熱心に指導してくれた先生のおかげです」。

 吉田君を指導する饒平名勝子教諭は「努力を惜しまない素直な子。三カ月の練習の成果が出ていた」と喜んだ。


http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-07-M_1-023-1_001.html?PSID=
沖縄タイムス 2008.10.7
私は隠さない。悩む人のきっかけに/「性」自ら公表 15歳夢に情熱
性同一性障害」の下里豪志さん 英語弁論大会で1位

 「私が誰かは隠さない。私が誰なのかを理解してほしい」。那覇市内で六日、開かれた第六十回高円宮杯英語弁論大会県予選大会で、南風原町立南星中学校三年の下里豪志さん(15)が、心と体の性が一致しない自身の「性同一性障害」をテーマに発表。小学四年で始めたピアノをきっかけに自信が付き、自然体で生きられるようになったことをアピールし、一位に輝いた。「周りが認めてくれているので私は幸せ。発表することで性同一性障害やいじめなどの悩みを抱える人が夢を持って進んでいけるきっかけになれば」と受賞を喜んだ。(平良吉弥)

 下里さんは幼いころから遊び相手はすべて女の子。物心ついたころから「自分は女だ」と思っていた。小学校中学年になってからは、男と女を区別することにも違和感を感じ始めた。振る舞いについて上級生から心ない言葉を投げかけられるなどつらい体験もした。

 だが、ピアノが自分らしい生き方を後押しした。周囲もひたむきな姿を見て激励するようになった。昨年はあるコンクールでドレス姿で演奏。中学生の部で一位に輝いた。

 「一人息子が、女の子のような振る舞いをして遊ぶ姿に(豪志さんが)低学年のころまで悩みもあった」と話す母親の倫子さん(50)。だが、次第に子どもの個性を尊重したいと思うようになり「女の子のかっこうをしたいなら自由にしたらいい。特別な目で見る人がいても気にしないで」と温かく成長を見守ってきた。

 現在、下里さんは中学校では男子の制服、休日はミニスカートで過ごし、ピアノや英会話、ダンスにと熱心に励んでいる。

 「ピアノは私に友人とコンクールの賞を与えてくれた。今度は私がピアノを通してたくさんの人を助けたい」。夢はプロのピアニスト。

 下里さんを含む三人は十一月に東京都で開かれる同弁論大会の全国大会に出場する。