5歳の男の子、人形遊びが好きで女の子とばかり遊びます

http://osaka.yomiuri.co.jp/mama/hint/20071108kk0d.htm
2007.12.1.読売 関西発
育児・ヒントの広場
質問
5歳の男の子、人形遊びが好きで女の子とばかり遊びます
 5歳の男の子ですが、女の子のようなところが多々あり、これでいいのかなと、もどかしく思っています。
 好きな遊びは人形遊びでお友達も女の子ばかりです。戦いごっこも電車も車も好きではありません。幼稚園に通っていて、帰宅後に子ども同士が約束して家への行き来がありますが、ほぼ女の子です。
 本人の好きなようにするのが一番いいと思いながらも、いつまでこんな感じかなとか、小学校に行ってから男の子の友達ができるのかなとか、性同一性障害だったら、どうやって受け入れようか等考えます。
 2つ上の兄がいて、反対にやんちゃな男の子なのに不思議だなと思います。
 本人は変わらないと思いますが親の心の持ちようを教えていただけたらと思います。
(37歳・母親)


アドバイス
グランマ  幼稚園では子どもたちは男女の別なく身体を動かす活動的な遊びや、室内での絵画制作など細やかな遊び、さらにごっこ遊びなど様々な遊びを経験しています。帰宅後は女の子とよく遊び、中でも「人形遊び」をするのが好きとのこと、静かな遊びが好きなのであれば、物静かな性格のお子さんかも分かりませんね。現在の傾向はお子さんの個性の1つと見てあげてはいかがでしょうか?
 しかし、今日では女の子だからと「人形遊び」が勧められるのではなく、多くの種類の遊びを経験することが奨励されます。2つ年上のお兄ちゃんと共に心身がのびのび育ついろいろな遊びを経験できるように、おうちでもひとつ工夫して、お子さんに積極的に働きかけてあげて家族で一緒に楽しんでみてください。その上で将来、もしもお子さんが自分の性に悩むようなことがあれば、その時に温かく受け入れてあげてくだされば、と思います。

火星  この年齢の幼児は、あまり性の違いに敏感でなく、男の子でも女の子と一緒に遊んだり、あやとりや、ままごとも好きです。しかし男の子同士でも遊べて、そんなときにはウルトラマンになったりするように思います。
 小児性同一性障害と呼ばれる場合の男児は、女児服を着たり、ままごと遊びでも女性の役割にこだわります。男児の典型的なゲームやオモチャに関心を示しません。このような極端な場合でも、ご両親のアドバイスや仲間からの反応によって次第に変わって来られ、大人になるまでには反対の性の行動は見られなくなるのが普通です。お子さんの場合も、幼稚園や幼児サークルなどの集団遊びの中で変わって行かれるのではないでしょうか。様子を見ていく必要があります。

静  男の子でも揉め事嫌い、ケンカが嫌い、乱暴な遊びが苦手な子どもはいます。そんな子は女の子とよく遊んでいます。女の子でも、ままごと遊びよりも○○レンジャー遊びのような身体を使った遊びが好きな子がいて、女の子と遊ぶよりも男の子とよく遊んでいます。自分が無理しなくても良い友達を見つけ、一緒に遊ぶことが楽しいと感じる体験が大事だと思います。共に遊ぶ楽しさを体験することで、友達の存在の大切さ、必要さを実感できるのではと思います。他人の存在が必要だと最初に感じるのは遊びの楽しさではないかと思います。
 人を大切に思えるように育てていくことが重要で、その相手が異性か同性か、遊びの内容が女っぽいか男っぽいかはあまり重要なことではないのではと思います。将来、友達との興味の持ち方の違いなどに悩みだしたときは、親としてはとても受け入れがたいと思いますが、「誰のせいでもない」と言い切ってあげて欲しい。他人からの様々な目と闘っていかざるを得ない状況だと思いますので、せめて親、兄弟とは闘わなくても良い。良き理解者と安心させてあげて欲しいのです。学校生活の中でも多様な質の人間がいることを理解しあう機会をもつ必要性を感じます。

ふくろうおじさん  思春期に入ってから、今のような状態でしたら、悩むこともあるかと思いますが、5歳の男の子ですから、心配することはありません。たまたま気の合う子が女の子たちなのでしょう。幼児期には、男女の関係なく、友だちと遊べることを喜んであげてください。
 お兄ちゃんが「反対にやんちゃな男の子」ということですので、お兄ちゃんと張り合わないところが安心なのかも知れません。お兄ちゃんが得意なことを弟が真似ることもよくありますが、反対に、張り合っても負けるのが決まっているのでしないということはよくあるものです。
 男女を意識しはじめるのは、思春期に入ってからです。それまでは男女の区別はほとんど意識していないものです。それでいいのです。最近、性同一性障害が話題になっていますが、今から心配するのは早すぎますね。親はいろいろと先々のことを心配するものですが、心配してもあまり有益なことはありません。その子その子には持ち味があります。子育てでは、その子の持っているものを大切に伸ばすのがポイントです。異性と遊べることは大事な能力です。「ないものねだり」するよりは、持っているものをたいせつに育てていきましょう。
2007年12月1日 読売新聞