性別違和者、小児愛者、フェティシストにおける性的対象配置の障害5

8月30日の論文翻訳(http://d.hatena.ne.jp/annojo/20060830/p1)、
9月1日の論文翻訳(http://d.hatena.ne.jp/annojo/20060901/p2
9月2日の論文翻訳(http://d.hatena.ne.jp/annojo/20060902/p1
9月3日の論文翻訳(http://d.hatena.ne.jp/annojo/20060903/p2)続き。


女好きマゾの自分が幼児であるという空想
鑑別で重要なのは、真の「性的対象配置の障害」と、表面的に類似したパラフィリアとの区別である。たとえば、マゾの男で、自分が小児であると想像するものがいる。これは支配的な女性に屈服したいという願望の現れである。


症例1
35歳男性。マスターベーションについての相談で来院。マスターベーションのときは、まずオムツをはき、そこにおしっこをする。そして何時間か、そのまま、はき続け、その後射精する。そのとき、空想としては、自分は赤ん坊で、母親から怒られて、洗濯機の中に放り込まれる。過去には別のマゾ的経験がある。最初は女性の古着を着ていたが、のちに、じぶんのだめぶりが強調されると思い子供の衣類を使い出す。12,3歳のころより、女性のブラジャーやパンティーを着用し、自分を縛ったり、首吊りをしたりしていた。


症例2
31歳男性。主訴はマゾであること。10歳の男児であると想像し、母親の女友達から、ブラシでケツをたたかれ、女子の友達がそれを見て笑う、というのが、マスターベーションのときの性的空想。


症例3
27歳男性。保育園に侵入し逮捕される。かれはオムツをはき、保育園に入ると、その中でおしっことウンチをする。オムツが汚れると、自ら電話で警察に通報。部屋の電気をつけ、誰かが来るのを待つ。彼の願いは、誰か女性が来て、お漏らししたことで、彼を叱り、オムツを交換してくれることだった。


コメント
上にあげた症例は、自分を子供だと想像する小児愛者と、自分を子供だと想像する、大人の女性が好きなマゾ男の違いを示している。小児愛者では、自分の性的対象である、子供へと近づいていく。マゾ男では、自分の性的対象である大人の女性からは離れていく。特に力とコントロールの点で離れていく。これはオムツをしたり、お漏らしすることで、自分のだめ振りを強めることで、女性から離れていく。このようなことから両者のメカニズムは違うと推測する。