統合失調症とテストステロン

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=15677432&query_hl=16&itool=pubmed_docsum
統合失調症陰性症状とテス トステロン血中濃度のマイナスの相関関係


我々は、10名の統合失調症患者に試験調査を行った。5名は陽性症状主体(グループⅠ)、5名は陰性症状主体(グループⅡ)、10名の健康な対象群。Radioimmunoassayの結果、テストステロン(T), dehydroepiandrosterone 硫酸塩 (DHEAS), estradiol, 及びcortisolの血中濃度において、患者群全体と対象群の間に有意差はなかった。しかし、グループⅡは、グループⅠと比較し、有意に(P <0.05)、テストステロンとDHEAS血中濃度が低かった。また、グループⅡは、グループⅠと比較し、有意に(P <0.05)、体毛と、攻撃性スコアが低かった。テストステロンとDHEAS血中濃度が低かった。より多数の研究では、Shirayama らは、「陰性症状が少ない群でなく、陰性症状のある群では」テストステロンと負の相関関係(P <0.05)で、ACTH (P <0.05) とcortisol (P <0.01)で正の相関関係であることを示した。DHEAS 、性ホルモン、その派生化合物といったneuroactive steroidsは、陰性症状の進展を阻止する付加的役割を持つ可能性がある。実際に、「DHEAの増加は」「陰性症状 (P <0.01), 抑うつ(P <0.05),不安 (P <0.01)」を改善する。


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=15358449&query_hl=16&itool=pubmed_docsum
精神病男性の性ホルモン


統合失調症発症のリスクのある女性にとって、estradiolは予防的要因になると仮説がもたれてきた。精神病である女性では対象群と比較し、低値のestradiol濃度だ。研究目的は、男性精神病患者の性腺機能を調査だ。なぜなら、男性において入手可能なデータは乏しく、estradiolについてはほとんど無視されているからだ。急性期ないしは初発の発症で入院した統合失調症男性患者34名の血中ホルモン濃度を、ブラインド・プロスペクティブ法で測定した。躁状態を含む感情障害併発例、薬物中毒及び重篤な身体疾患のあるものは、除外した。34名の健康男性が対象群となった。対象群と比較し、急性期の統合失調症で入院したものは、有意にestradiol, oestrone, testosterone および free testosteroneの血中濃度が低かった。この結果は予備的なものであるが、急性期の統合失調症男性患者では、oestrogen と androgen の血中濃度低値との関係があるように思われた。estradiol が女性統合失調症患者において予防的役割を果たすと言うoestrogen 仮説は、男性にも有効である可能性がある。しかし、臨床的適用が正当化されるためには、更なる研究が必要である。


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=14693351&query_hl=16&itool=pubmed_docsum
統合失調症における抗精神病薬使用量の性差


はじめに:エストロゲン仮説によれば、女性統合失調症患者で抗精神病薬の必要量が男性より少量なのは、エストロゲンの抗ドーパミン作用によるものであり、閉経によりエストロゲン産生が減少すると、女性統合失調症患者で抗精神病薬の必要量は増大する。
対象と方法:エストロゲン仮説を4338名の統合失調症患者で調べた。この患者たちは退院患者であり、3年間追跡調査した。毎日の抗精神病薬処方量が記録され、クロルプロマジン等価量に換算された。結果:男性は女性より毎日の抗精神病薬処方量が多かった。初回入院年齢を考慮すれば、毎日の抗精神病薬処方量は、すべての年代において、男性患者のほうで多かった。初回入院年齢以外に、毎日の抗精神病薬処方量は、罹病期間、学歴、喫煙、臨床症状、抗うつ剤、抗躁剤、睡眠薬という併用薬との関連があった。しかし、これらの要因は、毎日の抗精神病薬処方量の男女差の説明にはならない。
結論:結果は、従来のエストロゲン仮説を支持するものではない。テストステロン分泌が、女性患者と比較し男性患者で、毎日の抗精神病薬処方量が多い説明となる可能性がある。中枢神経系における老化過程が、男女両方において毎日の抗精神病薬処方量が中年期以降減少する理由となる可能性がある。