統合失調症とテストステロン2

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=12363392&query_hl=4&itool=pubmed_docsum

ニューロステロイド血中濃度と男性統合失調患者の陰性症状重症度との相関関係。


ACTH, cortisol, progesterone, testosterone, およびdehydroepiandrosterone sulfate (DHEA-S)の血中濃度と、陰性症状のある男性統合失調症患者の陰性症状評価尺度(SANS)の相関関係を調査した。対象は28名の男性統合失調症患者(陰性症状が軽度のもの14名、中程度のもの14名)と13名の健康な対照者群である。ニューロステロイド血中濃度は、ラジオイムノアッセイにより測定された。SANS 得点とACTH, cortisol および testosterone血中濃度との間には有意な相関関係があった。しかし、progesterone と DHEA-Sの血中濃度との間では、有意な相関関係はなかった。さらに、正常群と比較し、陰性症状が中程度のものでは、ACTH, cortisol および testosterone血中濃度は有意な違いがあったが、陰性症状が軽度のものでは有意な違いはなかった。ニューロステロイド血中濃度の測定は、統合失調症患者の陰性症状の重症度を測る、有用な生物学的指標となる可能性がある。


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=1653619&query_hl=16&itool=pubmed_DocSum
エストラジオールは、ドーパミン系神経伝達に早期に影響を与えることで、女性において統合失調症への脆弱性閾値を増強する。易学的調査と動物実験からのエビデンス


150万人の人口の中の、392名の初回入院統合失調症患者を対象に、半構造化面接"IRAOS"を用いて、「真の」初発年齢を調査した。その結果、生活上のリスクはまったく同じにもかかわらず、女性患者は男性患者より、3,4年発病平均年齢が高かった。
男性においては、発症率は急激な増加を示す。つまり思春期に始まり、15歳から24歳の間にピークを示し、その後は減少する。女性患者においては、最初のピークは20歳から29歳と、男性より明らかに遅い。次に小さなピークが45歳から49歳以降に見られる。競合しうる仮説を除外したあと、われわれは、エストラジオールのドーパミン系への作用が脆弱性閾値を増強するが、この作用は閉経以降低下するという仮説を立てた。反対に、テストステロンは脆弱性閾値を減弱し、男性の発症の早期化を促進するという仮説も立てた。ハロペリドール誘導性のカタレプシー、および新生ラットと成熟ラット両者におけるアポモルフィン誘導性行動への性ホルモン効果測定という、3つの動物実験において、われわれは、この仮説を検証した。テストステロンの明確な効果は見出されなかった。エストラジオールは、ドーパミンアゴニスト誘導性およびドーパミンアンタゴニスト誘導性行動のいずれも、有意な減少をもたらした。効果は新生ラットでより著明だった。エストラジオールはスルピリドにおけるドーパミンレセプター親和性を2.8ファクターにより減少させることより、われわれはエストラジオールによる行動変化は、ドーパミンレセプター感受性のダウンレギュレーションとして説明されるのではと推測した。


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=7547647&query_hl=16&itool=pubmed_DocSum
統合失調症における神経遮断薬使用量の性差。エストロゲン仮説の検証。


エストロゲン仮説によれば、女性統合失調症患者で神経遮断薬使用量が少ないのは、エストロゲンの抗ドーパミン作用による。閉経後エストロゲン産生が減少すると、この「神経遮断」作用が失われ、女性患者において神経遮断薬使用量が増大することになる。この仮説を1097名の統合失調症患者(DSM-III-R)で検証した。これら患者達は退院し、3年間の追跡調査を受けた。毎日の神経遮断薬処方量が記録され、クロルプロマジン等価量に換算された。男性患者は女性患者と比較し、多量の神経遮断薬を使用していた。しかし、この男女差は、中年群においてのみ有意差があった。使用量はまた、発症年齢、罹病期間、臨床状態と関連があった。結果はエストロゲン仮説を支持するものではなかった。女性患者において、閉経後、神経遮断薬使用量が一貫して増えることはなかった。結果はテストステロン分泌、体重、喫煙習慣の観点から議論された。これらの要因は、男女差があるものであり、少なくとも部分的には、統合失調症患者における神経遮断薬使用量の性差の説明となりうる。神経遮断薬使用量における性差と年齢の影響を研究するときには、発症年齢と罹病期間を考慮すべきであることを指摘する。


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=14646606&query_hl=16&itool=pubmed_docsum
定型抗精神病薬治療をされている男性統合失調症患者の大うつ病エピソード併発とテストステロンの関連の可能性

このcross-sectional study横断研究では、血中テストステロン濃度は慢性統合失調症患者のうつ病と関連があるという仮説を検証した。対象はDSM-IVの診断基準を満たし、定型抗精神病薬を投与されている49名の入院中の男性統合失調症患者である。大うつ病エピソード併発のある統合失調症患者では、有意に多量の定型抗精神病薬投与を受けていることを見出した。また、大うつ病エピソード併発のある統合失調症患者では、血中テストステロン濃度が低値傾向であることも見出した。慢性統合失調症患者でうつがあるとき、特に多量の定型抗精神病薬が投与されている場合には、テストステロン血中濃度に留意すべきであることが示唆された。