レオナルド・駄本チ

ダ・ヴィンチ関連本3冊。

「モナ・リザ」ミステリー

「モナ・リザ」ミステリー

帯に仰々しく、「ダ・ヴィンチ性同一性障害だった?!」と書いているが。


美術家らしい、流麗で美しい文章なのだが。
なんか、
「幼児期、母親と別れて、それがPTSDとなり、扁桃体の障害となり、ホモセクシュアルになる」
みたいな、中途半端な医学知識が混じる辺りは少々痛い。


で、モナリザダ・ヴィンチ自画像説がしばらく続く。
肝心の「ダ・ヴィンチ性同一性障害だった?!」に関しては、
最後から4ページの120ページになってようやく、


>卒然と私の脳裏に閃いたのは、最近にわかにその存在が知られてきた、不可解なるセクシ
ュアリティの特異な病気−「性同一性障害」(トランスジェンダー)という言葉であった。私自身、この言葉が浮かんだときは、まさか、という思いがあった。


とちょろっと論じておしまい。。
まあ、そんなに力を入れて大げさな文章書かなくても、と思うが。


とはいうものの、エッセイとしてはなかなか面白い本。


モナ・リザは高脂血症だった―肖像画29枚のカルテ (新潮新書)

モナ・リザは高脂血症だった―肖像画29枚のカルテ (新潮新書)

モナ・リザの左の目頭にある黄色いしこりは、眼瞼黄色腫だろう、という推測から、モナ・リザのモデルの女性は高脂血症だった、と推論。
ただ、若い女性が高脂血症になっているので、家族性高コレステロール血症を疑ってる。


高脂血症だとしたら、年老いた、ダ・ヴィンチ自身が、そうだったと考えるとつじつまが合うが。


天才はなぜ生まれるか

天才はなぜ生まれるか

鏡文字を書いたこと、語学の才能がなかったことより、学習障害と結論付ける。


まあ、わたし自身、学習障害説に反対ではないが。
木を見て、森を見ずというか。
単なる個別症状レベルの指摘をしているだけで、そのような学習障害が、人間ダ・ヴィンチの形成にどのような働きをしたか、あるいは芸術作品にどのような影響を与えたか、トータルに論じて欲しい。
非常に表面的な指摘という感じ。
著者略歴みたら、サルの研究者で、人間見たことなさそうなので仕方ないけど。