古橋 忠晃:カウンセリングによって男性に対する同一感が消失した女性の1例


古橋 忠晃:カウンセリングによって男性に対する同一感が消失した女性の1例
精神医学Vol.47 No.8:909-911,2005
http://www.igaku-shoin.co.jp/prd/00137/0013740.html

を読む。


論文タイトル読んでちょっとぎょっとしたが。
中身を読むとそれほどのことはなくて。
「女性役割に違和感のある専業主婦」
といった程度の感じで、「男性に対する同一感」というのは、ややおげさか。
実際に診断も、

>「反対の性に対する同一感」が明確で固定的ではないことから、「性同一性障害」の診断を積極的には満たさず、「特定不能の性障害302.9」となるであろう。


とあるし。


以下気づいたこと。



>大学時代まで男性にも女性にも恋愛感情を持ったことはない。


とあるのに、結婚のいきさつや動機、夫婦間の性生活についての記述がまったくない。
もしかしたら、Aセクシュアルの女性が、結婚して、男性との性交が苦痛で「女性役割はいやだ」といってるかもしれないので、その辺の考察があったほうがよいような。


*カウンセリングで、男性への同一感が消失した、との症例報告だが、長期的経過を見たら、再び男性への同一感が強まるかもしれない。
まあそんなこといいだすときりはないけど。


*年号を「X年」と表記しているのは、プライバシー保護の観点で理解可能だけど。
性同一性障害の場合、年号は情報的意味が大きいのでできたら書いてほしい。
たとえば、
1998年:埼玉医大でSRS(のニュースを聞いて性同一性障害という言葉を知った)
2001年:金八先生(を見て、自分と同じと思った)
2003年:特例法(で戸籍変えようと思った)
のように、生活歴と関わり深いことが多い。


*P911,
>性別再割り当て手術


久しぶりに目にした。
うれしいような、なつかしいような。