愛・憎悪・無関心―Gleichgueltigkeitをめぐって

川合一嘉:愛・憎悪・無関心―Gleichgueltigkeitをめぐって 臨床精神病理第26巻1号2005年4月 89ページ。


ぱらぱら、雑誌めくって、たまたま読んだ発表抄録だが面白かった。
部分引用。


>一旦備給が成立すると、その対象が姿かたちを変えても性質を変化させても持続するのが常である。またその対象は、姿かたちや性質の似通った別の対象と取り替えるわけには行かない。結局、ある種の備給が成立し持続することによって、対象の同一性が成立し持続すると考えることができる。また、逆に見ると、自己の同一性が成立し持続するためには、他者からこの種の備給を受け続けることが必要であるということも考えられる。そしてこの備給は、世間で「愛」と呼ばれているものにほぼ重なりそうである。つまり「愛」とは「対象に同一性を付与する備給である」と規定できる。


引用以上。


やや難解かもしれないが、簡単に言うと
アイデンティティの形成・維持には人から愛される事が必要。」
「愛され続ければ、自分の属性が変化しても、アイデンティティは維持される。」


ということ。
逆にアイデンティティが揺らいだり、断絶するのは、自分自身が変化するからではなく、それまでの愛が途切れるからと言うことだ。


あるいは本当の愛なら、愛する対象の属性に変化があっても、変わらず愛し続けるものだ、ともいえるかもしれない。


愛か。