パパは女子高生だった――女の子だったパパが最高裁で逆転勝訴してつかんだ家族のカタチ

「パパは女子高生だった――女の子だったパパが最高裁で逆転勝訴してつかんだ家族のカタチ」拝読。

 

 

性同一性障害特例法で戸籍の性別を女性から男性に変更し、女性と結婚。非配偶者間人工授精(AID)で妻が産んだ子を嫡出子として認められず。最高裁で逆転勝訴。
と書くと、何かいかめしい裁判闘争記録のように思えるが、読むといい意味で期待を裏切る。
中身のメインは暖かい家族の気持ちの交流を描いている。思弁的には特別な家族に思えるが、この本を読めば、ああ暖かい家族なんだなと思える。この暖かさが、司法を動かしたのか。
あと妻側の視点からも書かれたのにはっとさせられた。父親ばかりに注目が集まるが、母親もいろいろ考えるところは当然あったのだなと。
でも実は、一番印象に残ったのは、150ページにあった二人のデート場所。ディズニーランドやUSJとともに「伊賀の里もくもく手づくりファーム」という場所があげられていた。いったいどこだよ、そこ。

 

パパは女子高生だった――女の子だったパパが最高裁で逆転勝訴してつかんだ家族のカタチ

パパは女子高生だった――女の子だったパパが最高裁で逆転勝訴してつかんだ家族のカタチ

 

 

 

 

 

緑風出版はamazonとバトル中

拙書は、おかげさまでぼちぼち売れていますが、「amazonではなぜ高い中古でしか買えない」というお叱りのお言葉を頂戴しています。

 

実は、緑風出版は、amazonとバトル中で、出荷停止をしているからです。

まあポリシーを持って戦っているので、仕方ありません。

ほかのネット販売では定価での入手可能ですので、ご理解よろしくお願いします。

www.ryokufu.com

internet.watch.impress.co.jp

 

出版の崩壊とアマゾン

出版の崩壊とアマゾン

 

 

うらやすだより 

第147回浦安ジェンダークリニック委員会(9/9)報告

  個別症例検討:4例
   ホルモン療法開始:     1名 承認
   ホルモン療法継続:     2名 承認
   ホルモン療法再開:     0名 承認
   乳房切除術   :     0名 承認
   性別適合手術  :     2名 承認 (山梨大学

     ( FTM 0名、 MTF 4名 )
   
   以上、4名が承認されました。

『サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-』

『サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-』を見る。

ニューヨークに実際にあるThe Church of St. Luke in the Fieldsが土曜日にしているlgbt 支援プログラムをテーマにした映画。

https://stlukeinthefields.org/

主人公は葛藤しているトランス女性。

ミュージカルなのか、時々歌や踊りが入り、ちょっと変だが、まあ主人公の葛藤やストレス下の解離を表現していると思えば、まあいいだろう。

全体としてはよい映画だと思ったが。

主人公が女性として強くidentityを感じるハイライトのシーンで、日本語字幕歌詞が「I」を「私」でなく、「僕」となっているのはひどすぎた。訳者はちゃんと映画を見ているのだろうか。

 

あと、アメリカトランス映画では、トランス女性の象徴としてハイヒールが必ず出てくるが、日本ではそんなにハイヒールのこだわりはないな。文化の違い?

 

映画タイトル、原題は『Saturday Church』なのに、日本語ではなぜかナイトがついている。

サタデーナイトフィーバーの威光はいまだ衰えず、ということか。


『サタデーナイト・チャーチ』予告編

無性愛

異性への愛が異性愛、同性への愛が同性愛、両性への愛が両性愛なら、

無性愛は無性への愛、という意味であるべき。

無性愛だけ、無の性愛、という意味はおかしい気がする。

両性具有的な身体特徴を持つものへの性指向があるように、

無性的なものへの性指向を持つ者もいる。

彼らを呼ぶ適切な言葉がちょっと思いつかない。

性別違和・性別不合へ

性別違和・性別不合へ

針間克己[著]

緑風出版│性別違和・性別不合へ(ISBN978-4-8461-1915-7)

 性同一性障害が、DSM -5では「性別違和」にすでに変更され、ICD -11 では「性別不合」へと変更される。その変更は単なる名称の変更だけではない。性同一性障害から何が変わるのか? どうなるのか? 「脱病理化」とはどういうことか?精神疾患ではなくなるのか?性同一性障害特例法、ガイドライン、保険適用などはどうなるのか?
 本書は性同一性障害をめぐる諸問題に精神科医として二十数年にわたって取り組み、現在も患者の診療を担っている第一人者が、その変更の意味と影響についてやさしく解説する。(2019.9)

■内容構成
はじめに
1 DSMとはなんだろうか
 ? DSMとは
 ? DSM-Ⅰ、DSM-Ⅱ
 ? 「シュリンク
 ? 反精神医学運動
 ? 同性愛者の権利運動
 ? ロバート・スピッツアーの登場
 ? チャールズ・ソカリデス
 ? 性的指向障害
 ? DSM-Ⅲ の誕生
 ? 精神医学のバイブルに
 参考図書
2 ICDとはなんだろうか
 ? ICDとは
 ? ICDの歴史
 ? ICDの作成過程
 ? ICDとDSM
 ? ICD-11の性別不合とDSM-5の性別違和はなぜ異なるものとなったか
 ? ICD-11案に対するコメント
3 病理化と脱病理化とはなんだろう
 ? 病理化と脱病理化
 ? 病理化される前の時代
 ? 病理化の始まり
 ? 身体的性別とジェンダーアイデンティティを一致させる治療
 ? 門番としての精神科医
 ? 同性愛の脱病理化
 ? トランスジェンダー概念の誕生
 ? 同性愛をモデルとしての脱医療化の動き
 ? DSM-5の性別違和
 ? ICD-11の性別不合
 ? 日本の性同一性障害
 ? LGBT
 ? SOGI
4 DSM-5の「性別違和」を詳しく見てみよう
 ? DSM-5における「性別違和」の診断基準
 ? DSM-IV-TRの「性同一性障害」とどこがどうかわったか
5 ICD-11の性別不合を詳しく見ていこう
 ? 性別不合は「精神及び行動の障害」から「性の健康に関連する状態」へ
 ? 「conditions」を「状態」と訳すか「病態」と訳すか
 ? 性別不合の診断基準
 ? 「性別不合」という診断名
 ? 性別不合は、身体治療を受けるためのものである
 ? 性別不合はノンバイナリーか
6 服装倒錯的フェティシズムはどうなったか?
 ? DSM-5でどうなったか
 ? ICD-11ではどうなったか
7 ガイドラインはどうなるだろう?
 ? ガイドラインとは何か
 ? ガイドラインはだれが作成すべきか
 ? ガイドラインの中身をどうすべきか
8 保険適用はどうなるだろう?
 ? 保険適用の現状
 ? 手術療法が保険適用されたが……
 ? ホルモン療法はなぜ保険適用されない
 ? 性別不合の保険適用は?
9 「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」はどうなるだろう?
 ? 特例法制定まで
 ? ステファン・ウィットル
 ? 生殖不能要件なしは、国際標準に
 ? 最高裁判決
 ? 「性別違和」、「性別不合」への変更と特例法
 ? 医療と法律
 ? WHOの立場
10 GID学会の名称はどうなるだろう?
最終章 トランスジェンダーの人権と健康
あとがき