令和5年10月26日コメント

西日本新聞

手術の代替条件 明確化を

 性同一性障害学会理事で精神科医の針間克己さんの話
 特例法制定から20年で、性に関する社会の理解がここまで進んだのかと正直驚いている。性別変更についての門戸が広がる一方、性自認が今後も変わらないことを手術なしで示す必要があり、精神科医の負担は増えるだろう。一定期間ホルモン療法を受けていることや、自認する性別で職場や学校に通っていることなど、手術の代わりとなる条件として明確化してほしい。性別適合手術は術後のホルモン療法が生涯にわたって必須で、今後は手術する人が減るのではないか。
読売新聞
 特例法が「変更後の性別と近い性器の外観を備えている」とする「外観要件」も手術が必要なケースが多いが、ホルモン療法で外観を備えられれば、性別変更の要件を満たすことになる。このため、今後は申立件数が急増する可能性もある。
 その際に重要になるのが性同一性障害かどうか見極める「医師の診断」だが、診断経験が豊富な精神科医の針間克己医師は「手術などの身体的な治療をせずに性別変更を希望する当事者については、見極めが難しくなる」と指摘。思い込みで申し立てた後に「元の性別に戻りたい」ということもあり得るため、「診断の基準をより明確化する必要がある」と語る。