性的マイノリティー 政党アンケート 性の自由 政治に問う

http://www.tokyo-np.co.jp/article/senkyo/sanin2013/all/CK2013071902100003.html
東京新聞 7.19
性的マイノリティー 政党アンケート 性の自由 政治に問う

 「性的マイノリティー(少数者)の問題にも目を向けて」。参院選に合わせ、同性愛者や性同一性障害の人らが各党にマイノリティー施策の必要性や同性婚の賛否を聞き、結果をウェブ上で公開している。欧米で同性同士の結婚「同性婚」の合法化の流れが加速する中、当事者らは「日本でも考えるきっかけにしたい」と意気込む。 (奥野斐)

 「欧米では同性婚の議論が盛り上がっているけど、日本はどうなの?」。当事者向け情報サイト「2CHOPO(にちょぽ)」を運営する中村圭一さん(37)は昨年の米国オバマ大統領の同性婚支持表明後、そんな声を聞く機会が増えた。先月、米国で連邦最高裁が「結婚は男女間に限る」と定めた法に違憲判決を出し、国内外でさらに注目が集まった。

 参院選では候補者を出す十二政党に、同性婚の賛否や、同性カップルに異性と同等の権利を認めるパートナーシップ法整備について質問。十八日正午時点で半数の六党から回答を得た。民主は今回から政策集に「性的マイノリティーが差別を受けない社会を目指す」と明記。共産は二〇〇七年の参院選から、公明は〇九年から公約や政策にマイノリティー施策を盛り込んでいる。社民は「一九九〇年代後半から偏見の解消などを公約に加えた」(担当者)。また質問に対し、生活の党は「検討中」、自民は「性同一性障害者などの施策は、実際の不都合な点を考慮しながら行ってきた」と回答した。

 「新宿二丁目ポータルサイト」を略した名称のサイトは、動画配信やネットレンタルを手掛ける企業「DMM・com」が昨年三月から運営。社員として編集に携わる中村さん自身は当事者ではないが、「垣根なく、議論できる材料を提供したい」と意義を語る。「政策や公約に書かれていること自体、知らない人が多いと思う」

 電通総研は全国の約七万人を対象に昨年実施したインターネット調査から、性的マイノリティーは人口の約5・2%に上ると推計している。当事者は偏見や差別を恐れて周囲に言えなかったり、いじめや引きこもり、自殺の要因にもなったりすると指摘されている。

 参院選では2CHOPOのほか、愛媛県NPO「レインボープライド愛媛」(松山市)や東京の当事者団体「フォーラムアクエリアス」も政党や候補者にアンケートを送付。「愛媛」には自民を含む六党から回答があった。代表の男性(42)は「以前は回答さえなかった政党が多かったが、徐々に関心を持つ政治家が増えてきた」と実感。議論の高まりに期待を寄せる。