人脈記 男と女の間には2 女ごころ 裕次郎が抱いた

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2010.9.7.朝日夕刊



上川あやの先駆者、カルーセル麻紀
裕次郎はきちんと接してくれた。


>札幌のベラミには麻紀のような家出組が何人かいた。仲間の一人が、少し年上の圭子(70)だ。
 札幌生まれで、幼い頃は女の子とままごとばかりしていた。高校では化粧をし、男性を好きになった。「どうしても女になりたい」。驚いた両親が大学病院に連れていき、圭子は精神科病院に回されて入院となった。
 頭に電気ショックを与えられる日々が始まる。舌をかまぬようタオルをくわえさせられ、頭を機械で挟まれて、ガチャッという音で気を失う。毎晩続いた。当時の日本は「性同一性障害」の理解が医学界でも追いつかず、心と体の性が一致しないなら心の方を何とかしようとする「治療法」だった。
 2カ月後、圭子は「看護婦さんが好きになりました。もう大丈夫です」と偽って病院を抜け出す。


>今でも電気ショックのことを思い出すと悔しさに身震いする。体は変えても、心は変えない。まして誰にもいじらせない。