「江戸の病」

「江戸の病」読む。
氏家幹人の本はどれも面白いがこれも面白かった。


「医者の章」では、江戸時代の医者に関する言われようが、現代と同様なのに驚いた。
というか、某blogとネタがかぶりまくりというか。


たとえばこんな川柳があった。
P99
>「たけのこに あたりやぶ医を 所々さがし」
(やぶ医者にも劣る筍医者に運悪く見てもらったので、せめてそれよりましなやぶ医者をさがし回っている)


あるいは、江戸にはびこる詐欺師のような医者の所業。
P94
>今どきの医者は、名誉と利欲ばかり追求して真実がない。容貌や住まいを飾るのもの、身をおごそかに保つためではなく、あくまでより多くの収入を得るためだ。薬で商売する売薬師と変わりがない。おのずと医術はおろそかにされ、患者をだます悪巧みの方が百倍も上手い。


あるいは
P102
>藩から高禄を得ている御医師たちが高慢で、貧しい庶民を診ようとせず
>患者を診ない(したがって経験不足で治療が上達しない)名ばかりの医者


そうならぬように、「医家初訓」。(1792年、多紀元徳 たきもとのり)
P100
>「医家ハズベキノ最トスル所は本業ニ拙ヨリ外ハナシ」(医者として最も恥ずべきは、本業である医術が下手のことだ)
>「福医ノ有様ヲウラヤミソノ行ヲ学ブベカラズ」
(金持ち医者をうらやましがって、その真似をするな)
>「およそ医家習業ハ学ト術ト相マツテナルコトナリ」(医者の修業は知識と技術のどちらが欠けても成り立たない)

江戸の病 (講談社選書メチエ)

江戸の病 (講談社選書メチエ)