拘置中に女性へ性別変更し結婚、控訴審で猶予判決に


性転換手術の「元男性」拘置所で女性施設に
http://d.hatena.ne.jp/annojo/20050710/p1
の続報。


2005.7.19.日刊スポーツ
主婦として更生可能−性変更、婚姻で猶予
 大阪高裁は19日、覚せい剤取締法違反罪に問われ、控訴審中に男性から女性への性別変更許可を受けて結婚した無職の被告(26)に対し、懲役1年2月の大阪地裁判決を破棄し、懲役2年、執行猶予5年の判決を言い渡した。
 滝川義道裁判長は「被告は性同一性障害で安定した男女関係を持つことが難しく、薬物依存の要因となっていた」と指摘。「婚姻し、夫が更生への援助を申し出ており、本人も反省を深め、社会復帰後は主婦として生きていくと話している。社会内で更生できる可能性が高まった」と理由を述べた。
 判決などによると、被告は今年1月、大阪市淀川区内の知人宅で覚せい剤を使用、所持した。
 被告は10代前半に性同一性障害となり、16歳で男性から女性への性転換手術を受けた。大阪家裁は今年5月、性同一性障害特例法に基づき、被告の性別変更を許可。戸籍が変更され、男性と結婚したという。
[2005/7/19/15:30]
http://www.nikkansports.com/ns/general/f-so-tp0-050719-0020.html


2005年7月19日13時40分 読売新聞
拘置中に女性へ性別変更し結婚、控訴審で猶予判決に
 覚せい剤取締法違反罪に問われ、大阪拘置所に収監中に男性から女性へ戸籍上の性別変更を認められた被告(26)の控訴審判決公判が19日、大阪高裁であった。


 瀧川義道裁判長は「性別変更後、婚姻し、社会の中で更生できる可能性が高まった」などとして、懲役1年2月(求刑・懲役2年)の実刑とした1審・大阪地裁判決を破棄し、被告に同2年、執行猶予5年、保護観察付きの有罪判決を言い渡した。
 判決などによると、被告は心と体の性が一致しない「性同一性障害」で、性転換(性別適合)手術を受け、大阪市内の飲食店で勤務。別の窃盗事件などで今年1月、有罪判決を受けた6日後、覚せい剤を使用したとして、逮捕された。
 被告は、拘置所で男性として処遇されるのは耐えられず、大阪家裁に戸籍上の性別変更を申し立てていたが、5月に認められて女子用施設に移された。その後、交際中の男性と婚姻し、控訴審の被告人質問では「更生して主婦として生きたい」などと主張していた。
(2005年7月19日13時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050719i504.htm


2005.7.19.共同通信
性変更、婚姻で2審は猶予 「更生の可能性高まる」

 覚せい剤取締法違反罪に問われ、控訴審中に男性から女性への性別変更許可を受け、結婚した無職の被告(26)に、大阪高裁は19日、懲役1年2月の大阪地裁判決を破棄し、懲役2年、執行猶予5年の判決を言い渡した。

 滝川義道裁判長は「夫が更生への援助を申し出ており、本人も反省を深め、社会復帰後は主婦として生きていくと話している。社会内で更生できる可能性が高まった」と理由を述べた。

 判決などによると、被告は今年1月、大阪市淀川区内の知人宅で覚せい剤を使用、所持した。

 被告は10代前半に性同一性障害となり、16歳で性転換手術を受けたという。
http://kumanichi.com/news/kyodo/social/200507/20050719000195.htm


毎日新聞 2005年7月19日 19時01分 (最終更新時間 7月19日 19時12分)


覚せい剤性同一性障害の被告に猶予判決 大阪高

 覚せい剤取締法違反罪に問われた性同一性障害の被告(26)=大阪市北区=に対し、大阪高裁は19日、懲役1年2月の実刑とした1審・大阪地裁判決を破棄し、懲役2年、保護観察付き執行猶予5年の判決を言い渡した。滝川義道裁判長は「男性から女性に性転換して結婚し、社会で更生できる環境が整った」と執行猶予を付けた理由を述べた。被告は窃盗と傷害の罪で執行猶予付き有罪判決を受けた6日後に覚せい剤を使用しており、再び猶予判決が言い渡されるのは異例。
 判決などによると、被告は10代前半で性同一性障害になり、16歳で女性への性転換手術を受けた。昨年1月、大阪市淀川区の知人宅で覚せい剤を使用・所持したとして起訴された。1審判決後の今年5月、大阪家裁で性別変更が認められ、戸籍上も女性になって男性と結婚した。
 公判で被告は「社会復帰後は二度と覚せい剤に手を出さず、主婦として生活したい」と述べ、夫も更生への援助を約束していた。
 傍聴席で夫が見守る中、滝川裁判長が「これを機に必ず更生するように」と諭すと、被告は泣き崩れた。【一色昭宏】
毎日新聞 2005年7月19日 19時01分 (最終更新時間 7月19日 19時12分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050720k0000m040041000c.html


2005.7.19.産経新聞
男→女+結婚=猶予刑 「更生の機会」 大阪高裁判決


覚せい剤取締法違反の罪に問われ、性同一性障害のため公判中に男性から女性への性別変更が認められた被告(26)に対する控訴審判決が十九日、大阪高裁であった。瀧川義道裁判長は「性同一性障害者には社会生活に困難な点も多いが、婚姻し、主婦として生活することで更生を図る見通しが立った」として、懲役一年二月の実刑とした一審・大阪地裁判決を破棄、懲役二年、保護観察付き執行猶予五年の判決を言い渡した。
 被告は十六歳のときに性転換手術を受け、その後、飲食店に勤務。今年一月に覚せい剤取締法違反容疑で逮捕され、四月に大阪地裁で実刑判決を受けた。しかし、大阪拘置所で男性として扱われることに苦痛を感じ、性同一性障害者特例法に基づいて性別変更を申し立て、五月十八日に大阪家裁が許可。その後、知人男性と結婚していた。
 瀧川裁判長は判決宣告後、「性別変更が認められ、婚姻もできた。これを逃せば更生の機会はないと判断した。このことを自覚し、更生に努めてください」と説諭した。
http://news.goo.ne.jp/news/sankei/shakai/20050719/e20050719010.html


2005.7.20.スポーツニッポン
「夫が援助」性別変更被告に猶予刑 
 覚せい剤取締法違反罪に問われ、控訴審中に男性から女性への性別変更許可を受け結婚した無職の被告(26)に、大阪高裁は19日、懲役1年2月の大阪地裁判決を破棄し、懲役2年、執行猶予5年の判決を言い渡した。

 滝川義道裁判長は「被告は性同一性障害で安定した男女関係を持つことが難しく、薬物依存の要因となっていた」と指摘。「婚姻し、夫が更生への援助を申し出ており、本人も反省を深め、社会復帰後は主婦として生きていくと話している。社会内で更生できる可能性が高まった」と理由を述べた。

 判決などによると、被告は今年1月、大阪市淀川区内の知人宅で覚せい剤を使用、所持した。被告は10代前半に性同一性障害となり、16歳で男性から女性への性転換手術を受けた。大阪家裁は今年5月、性同一性障害特例法に基づき、被告の性別変更を許可。戸籍が変更され、男性と結婚したという。
[ 2005年07月20日付 紙面記事
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2005/07/20/02.html


2005.7.20.サンケイスポーツ
性別変更したら、判決も変更…実刑が猶予刑へ
 覚醒剤取締法違反罪で1審は男として実刑判決を受け、控訴後に男から女への性別変更が認められた被告(26)に対し大阪高裁は19日、1審判決を破棄、大幅に軽い猶予刑を言い渡した。性別変更後に結婚しており、裁判長は「夫に支えられて、主婦として更生可能」と指摘した。被告は10代前半から心と体の性が一致しない性同一性障害となり、16歳で性転換手術を受けていた。

  ロングヘアにピンクのパンツ姿の被告(26)は号泣した。大阪高裁が懲役1年2月とした大阪地裁判決を破棄、改めて保護観察付き執行猶予5年が付いた懲役2年を言い渡したときだった。
 滝川義道裁判長は「被告は性同一性障害で安定した男女関係を持つことが難しく、薬物依存の要因となっていた」と指摘したうえで「婚姻し、夫が更生への援助を申し出ており、本人も反省を深めて、社会復帰後は主婦として生きていくと話している。社会内で更生できる可能性が高まった」と理由を述べた。
 被告が性同一性障害となったのは10代前半。16歳で男性から女性への性転換手術を受けた後、“ニューハーフ”として風俗店で働いた。
 今年1月24日、大阪市淀川区の知人宅で覚醒剤を注射してもらったほか、0・027グラムを所持していたとして逮捕された。だが、逮捕後は一層の苦痛が待っていた。
 戸籍上は男のままだったため、起訴とともに移送された大阪拘置所大阪市都島区)では、男子用施設に収容。他の男性未決拘置者と同様、入浴中も監視され、体操も男の中で一緒に行うはめになったという。
 4月には大阪地裁で実刑判決を受けたが、拘置所で男として扱われることへの忍耐も限度となり、大阪家裁性同一性障害による性別変更も申し立てた。そして5月に変更が認められた。
 晴れて、女子用施設へ移動。そして付き合いのあった男性と結婚した。
 昨年7月施行の性同一性障害特例法は(1)20歳以上(2)結婚していない(3)子供がいない(4)性転換手術を受けている(5)2人の専門医が一致して障害と判断−など要件を満たせば性別変更を認めている。
 社会的な救済の道が開かれたわけで、滝川裁判長は最後に「性別変更も認められ、婚姻もできた。これを逃せば更生の機会はないと判断した。このことを自覚し、更生に努めてください」と諭した。
★性転換手術は国内で60例
 性同一性障害者は、国内に1万人以上いるとされる。特例法は一昨年7月に通常国会で成立、昨年7月に施行された。男から女への性別変更は、タレントのカルーセル麻紀(62)が性転換手術から31年目の昨年9月に認められ、障害を公表したうえで平成15年4月の世田谷区議選挙で初当選した上川あやさん(37)も今年4月、晴れて女となった。ただ、国内で日本精神神経学会の指針に沿って性転換手術を行えるのは埼玉医大、岡山大、関西医大の3カ所だけで、これで約60例が行われたのみ。健康保険対象外のため費用は250万−300万円と高い。先月には大阪市の院長(51)が、ヤミ手術による死亡事故で摘発された。
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200507/sha2005072001.html


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奥村弁護士の見解
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20050719/1121755808