戸籍の性別の「変更」ではなく「訂正」が認められた 21-水酸化酵素欠損症の2症例

一般演題であったせいか、twitter等でも誰も触れていないが、今回の学会の発表で、最も衝撃的だったのは、大島義孝先生(岡山大学)の発表、
戸籍の性別の「変更」ではなく「訂正」が認められた 21-水酸化酵素欠損症の2症例
である。
http://gid19.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20170316221315-F7F0A249074817D4AD9C87F681F3CBAC2BBD766B42B1FEA5D82F896BF021CB7B.pdf
21-水酸化酵素欠損症は、副腎アンドロゲンを過剰合成する、副腎皮質過形成である。
http://grj.umin.jp/grj/cah.htm
すなわち、46XXであっても、アンドロゲン過剰により、男性化を有する。
そのため、この発表は最初、
「生まれたときに、ミニペニスがあったので男性と間違え戸籍登録したが、後で調べたら46XXだったので、女性に訂正した」という話だと思った。
しかしそうではなく。
女性から男性への「訂正」だった。
何が画期かというと、2症例とも、生まれて間もなく、性器手術(ミニペニスを適当な大きさの陰核にする)を行っている。
すなわち外性器は女性器。
で、その後は卵巣摘出は行っていない。
詳細不明だが、おそらく卵巣の機能はある程度残っている。
しかし、性自認が男性であることと、社会的に男性としての生活をなどから、「訂正」を許可。
性器は女性で、卵巣機能も残っているのに。
すなわち、性同一性障害者でいえば、手術要件を満たしいないのに、変更したことになる。
なんと画期的な。
法律雑誌で法律家が詳細に論ずべき症例といえる。


特例法ができる前は性分化疾患の、訂正ケースは詳細に分析されていたが、最近はあまり関心を持たれていない。
しかし実は法的解釈は、画期的に進んでいたのである。


念のため、書いておくと、「変更」は性同一性障害者が特例法で変えるもの。
「訂正」は性分化疾患を持つものが戸籍法113条で訂正するもの。