http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20140108/CK2014010802000005.html
中日新聞
性同一性障害に理解を 来月2日、松本でフォーラム
2014年1月8日
心と体の性が一致しない「性同一性障害」に焦点を当てた県内初のフォーラムが、二月二日、松本市で開かれる。準備を進める長岡春奈さん(54)=松本市松原=は長年、性の不一致に悩み、二年前に男性から女性になった当事者。「私たちを正しく理解してもらい、どの程度の苦悩があるか知ってほしい」と参加を呼び掛ける。
フォーラムを主催するのは、全国組織のgid.jp(ジィアイディドットジェイピー、日本性同一性障害と共に生きる人々の会)。長岡さんはこの団体の甲信支部に所属する。
長岡さんは、保育園に通うころから「男の子」として扱われることに違和感があった。中学二年のとき、女っぽいしぐさを同級生にからかわれたり、無視されるいじめに遭った。「私はこの世に一人だけの変な人間。生きていても幸せになれない」と思い詰め、カッターで左腕を切ったこともある。
高校卒業後は県内の大手精密機器メーカーに勤め、管理職も務めた。背広で出勤し、自宅では女性の姿で過ごした。二〇〇四年施行の「性同一性障害特例法」を知り「私は性同一性障害に違いない」と思った。
精神科への通院、ホルモン治療とステップを踏み、一二年六月、ようやく性別適合手術を受けることができた。術後、看護師に「女の子になれたのよ」と言われ「この世で最高にうれしかった」。
翌月、戸籍も変更。しかし、女性として会社に戻った後、居場所を見つけられず、昨年末に退職した。現在は「同じ苦しみを感じている人を少なくしたい」と、団体の活動に打ち込んでいる。
フォーラムは学校現場の対応や当事者が感じる生きづらさ、自殺防止などをテーマに精神科医や産婦人科医らが講演する。シンガー・ソングライターの中村中(あたる)さんの歌も披露される。
長岡さんは体験を踏まえ「問題に悩む人の中には小さな子どももいる。教育現場や家族の方にも参加してほしい」と訴える。