「いねむり先生」拝読。
伊集院静が、「いねむり」先生、つまりナルコレプシーを抱える、阿佐田哲也との思い出を書いた小説。
「K」こと、黒鉄 ヒロシや、「I」こと井上陽水も登場。(ちなみに井上陽水と揚水発電の両者に関係はない)。
伊集院静が妻である夏目雅子を亡くした悲しみが、先生との交わりの中で癒されていく。
死別の悲しみからの再生、というテーマは、このタイミングでは、どうしても震災を連想するが。
奇しくも、この本の書き出しは、「ソ連のチェルノブイリで原子力発電所の事故があった年の冬、ボクは一人で六本木の通りを歩いていた。」とある。
この書き出しは、当時の彼の殺伐とした心象風景を表現しただけであり、今度の事故とは関係ないと思われるが、どうしてもそっちにひっぱられてしまう。
まあ、個人的にはそういうことより、阿佐田哲也が、「雀聖と書かれた色紙は偽物ですよ」といって、自らは色紙に「偽雀聖」と書いた、という話が面白かった。
本物は偽物を自称しても、やはり本物、みたいな。
- 作者: 伊集院静
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/04/05
- メディア: 単行本
- クリック: 15回
- この商品を含むブログ (43件) を見る