大学病院や大病院勤めだと、医局に行けば各種医学雑誌がそろっていて、それを好きなだけ読むことができるのだけど。
私のような、零細医院勤めだと、そういうわけにもいかず。
仕方なく、医局代わりに、近所の三省堂にて立ち読み。
「臨床精神医学 2008年増刊号」は、「精神科診療に必要な書式マニュアル[改訂版]」特集だったのだが、特例法診断書の書き方マニュアルの論文はなし。原稿依頼があれば、そのノウハウの秘法を伝授したのだが。残念。
http://www.molcom.jp/item_detail/41374/
「臨床精神医学 38/2 2009年2月号」、は「今日の生活臨床と統合失調症の心理社会的治療」の特集で、その中に「宮内勝による啓発的接近法」という論文があった。宮内先生は、まだまだこれからというときに亡くなられたのだが、この論文は、その宮内先生を追悼するようなおもむき。宮内先生の臨床からにじみ出る技法は、具体的で説得力があり、有用性に富むものであった。
http://www.molcom.jp/item_detail/41861/
と、宮内先生を思い出しながら、「治療の聲」を手に取ると、「特集 安克昌の臨床世界」と、故安先生の特集だった。安先生は神戸の地震の時にちょっとお会いしただけなのだが、若いにも関わらず、日本中から集まってくる曲者の精神科医を、みごとにまとめ上げていて、すごい先生だな、と感服したのを覚えている。その後、解離性同一性障害でブレイクして、さすがだなと思っていたら、39歳であっという間になくなってしまい、驚いた。
http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo01/bo0105/index.html
すばらしい臨床医というものは、短い生涯であっても、多くの業績を残し、残された人たちの記憶に残り続けるものだと、再認識させられた。
わたしなんぞは、死んだ瞬間に世の中から忘却されるので、せめて長生きぐらいはしたいと思った。