エステが行うレーザー脱毛は違法か


「医療機器の光脱毛機を販売容疑 社長ら逮捕 京都府警 」というニュースを読んでいたら、「光脱毛は医療行為なので、エステがやったら違法」と書いてあった。
レーザー脱毛はエステでもやってるのに、と思いながら調べると、結構、ビミョー。


確かに厚生省健康政策局医事課長通知において、
>用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為
を医師でないものが行うと、医師法17条違反とのこと。


一方で、国会答弁では厚生省生活衛生局長の小野昭雄や、当時の小泉純一郎
「悪質でなければエステがやっても、大目に見よう」といった趣旨の発言あり。


で、ポイントは国会答弁は「厚生省生活衛生局長」であり、「厚生省健康政策局医事課」ではないこと。
エステ業界を管轄しているのが「厚生省生活衛生局」であり、エステ業界との関係は、接待されたり、天下り先だったりするらしい。
つまり、厚労省の中でも、エステ業界支持派は業界の意をくみ「レーザー脱毛くらい、大目に見ろや」との見解とのこと。


今回の事件は被害者が出たので、事件になったとのことだろう。


あとついでに、厚生省通達読むと
「(2) 針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為」
つまり入れ墨も医者がやらないと医師法違反になるらしい。
でも普通、医者は入れ墨は行わないと思うけど。


参考URL
http://low17.e-datsumo.com/topic/seikatsueisei.html


http://www.asahi.com/national/update/0311/TKY200703110099.html
朝日新聞
医療機器の光脱毛機を販売容疑 社長ら逮捕 京都府
2007年03月11日20時39分
 医療機器の光脱毛機をエステ店に無許可で売るなどしたとして、京都府警は11日、東京都新宿区の美容機器輸入販売業「ワールドビューティック」社長福囿正志(53)=神奈川県藤沢市善行2丁目=ら3人を薬事法違反容疑で逮捕した。福囿容疑者は「裁判で話します」と供述し、ほかの2人は「医療機器ではなく美容機器です」と供述しているという。
 ほかに逮捕されたのは同社営業部統括本部長土屋雄司(58)=練馬区春日町2丁目、同社国際課長吉田亜弓(34)=港区芝5丁目。
 調べによると、3容疑者は05年8月、厚生労働大臣から医療機器販売業者の許可を得ずに、京都市山科区エステティックサロンに、医療機器であるデンマーク製の光脱毛機「コスモライトレボリューション」1台を約650万円で売った疑い。府警によると、この機械がデンマークでは医療機器として使われていたという。
 調べでは同社は01年からエステ店など343店に光脱毛機計506台を販売した。販売する際「医療機器ではなく美容機器。エステ店で使えます」などと説明していたという。


日刊スポーツ
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20070311-168410.html
「光脱毛機」販売で逮捕
 皮膚に光線を当て脱毛する医療機器「光脱毛機」を国の許可を受けずに販売したとして、京都府警生活環境課などは11日、薬事法違反の疑いで、美容機器販売「ワールドビューティック」(東京都新宿区)の社長福囿正志(53)と営業部統括本部長土屋雄司(58)ら3容疑者を逮捕した。同社はここ数年で全国のエステ店に約500台販売。光脱毛をめぐる販売業者の摘発は全国初という。
 調べでは、3人は共謀して05年8月1日ごろ、国の許可を受けずに、デンマーク製の光脱毛機1台を約650万円で、京都市山科区エステ店に販売した疑い。
 府警によると、デンマークの会社と01年10月に契約。1台400万円で輸入し、約650万〜800万円で、全国343のエステ店に計506台販売。年商は約20億円という。
 福囿容疑者は「裁判ではっきりさせる」、土屋容疑者らは「売ったのは美容機器」といずれも否認。昨年9月、エステ店経営者(41)ら2人を医師法違反容疑などで逮捕、購入先から浮上した。
[2007年3月11日22時0分]

http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe.cgi?MODE=tsuchi&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL&KEYWORD=&EFSNO=842
>○医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて
(平成13年11月8日)
(医政医発第105号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局医事課長通知)
最近、医師免許を有しない者が行った脱毛行為等が原因となって身体に被害を受けたという事例が報告されており、保健衛生上看過し得ない状況となっている。
これらの行為については、「医師法上の疑義について」(平成12年7月13日付け医事第68号厚生省健康政策局医事課長通知)において、医師法の適用に関する見解を示しているところであるが、国民への危害発生を未然に防止するべく、下記のとおり、再度徹底することとしたので、御了知の上、管内の市町村並びに関係機関及び関係団体等にその周知を図られるようお願いする。

第1 脱毛行為等に対する医師法の適用
以下に示す行為は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反すること。
(1) 用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為
(2) 針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為
(3) 酸等の化学薬品を皮膚に塗布して、しわ、しみ等に対して表皮剥離を行う行為
第2 違反行為に対する指導等
違反行為に関する情報に接した際には、実態を調査した上、行為の速やかな停止を勧告するなど必要な指導を行うほか、指導を行っても改善がみられないなど、悪質な場合においては、刑事訴訟法第239条の規定に基づく告発を念頭に置きつつ、警察と適切な連携を図られたいこと。



国会議事録
http://kokkai.ndl.go.jp/
>[013/014] 141 - 衆 - 厚生委員会 - 5号
平成09年11月26日
>○中桐委員 ぜひその方向でお願いしたいというふうに思います。
 さて、同じく先ほどの毎日新聞の新聞報道によりますと、実はこのエステティック研究財団には、調べたところによりますと、何人かの厚生省の元職員の方が就職をされているというふうな事実もございますが、こういう中で厚生省が、さきの消費者問題等の特別委員会でも議論をしたところでございますが、エステティックサロンで行われている電気脱毛という施術について、これは医師法違反に当たるということが医事課の方からの判断として出されているということがございます。しかし、その電気脱毛に関することも含めまして、講習会をエステティック研究財団が行いたいために厚生省の担当課の職員を複数回にわたって接待していたという報道がなされているわけでございますが、こうした事実がもしあるとすれば、財団を指導する立場として問題ではないかと思うのですが、厚生省の御見解はいかがですか。
>○小野(昭)政府委員 昭和五十九年に健康政策局の医事課から、電気脱毛は医行為であるとの見解を示しているところでございますが、この医行為の内容につきましては、医学等の進歩によりまして変わり得るものでございます。
 いわゆる電気脱毛について申し上げますと、昭和五十九年当時と現在のものでは、その機器が格段に進歩いたしております。一例を挙げますと、例えば昭和五十九年当時は通電量のメーターがございませんでしたが、現在はございます。それから、一回の通電時間が六十秒から百八十秒かかっていたわけでございますが、現在は七、八秒でございます。それから、針の反復使用は、五十九年当時は反復使用いたしておりましたが、現在は使い捨てでございますし、一回に挿入する針の数も十六本から一本というふうに減ってきております。
 そういった状況がございまして、最近の電気脱毛機器につきましてはそういう性能の向上があるということもございまして、可罰的違法性がないと認められるケースもあるわけでございます。昭和五十九年以降、医師法違反の容疑で摘発しました四つの事例はいずれも起訴されていないというふうなこともございます。そういった状況を踏まえますと、現在では、一律に取り締まりの対象とすることは難しいと考えております。
 しかしながら、先生御指摘にございましたように、日本エステティック研究財団が講習を始めたことにつきましては、現状を少しでも改善をいたしまして、利用者の安全を高めようという取り組みであることから、直ちに中止させなければならないという性格のものとは考えておりません。
 それから、業法その他の考えはという御指摘でございますが、医師法違反によります取り締まりが困難だというふうな現実にかんがみますと、御指摘のような資格法あるいは業法を制定いたしまして、これによりまして規制を行うことは一つの方法であろうと考えております。
 しかしながら、過去の臨時行政改革推進審議会の答申におきまして、資格制度の新設を厳に抑制すべきであるとされておりまして、行政改革の視点からは、新たな資格法あるいは業法を制定することは現実的でないと考えておりますし、また、関係者が非常にたくさんおりますので、その調整を行うことは非常に時間を要するということで、現時点では非常に困難であると考えております。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、業界がその技術レベルを向上させるという自主的な取り組みをさらに積極的に進めるということは意味があるものと考えておりまして、御指摘の点も踏まえ、よく検討したいと考えております。
>○小泉国務大臣 今政府委員から答弁しましたように、この問題についてはいろいろ難しい点もあると思いますが、消費者も気をつけてもらわないといけないと思うのです。
 業界といっても、業者はたくさんいる。その水準も大違いだ。中にはいいかげんなものもあるかもしれませんし、問題のないところもあるかもしれませんが、この点について、電気脱毛等について、今、お医者さんでなくても被害を出さないでできるような機械なり技術が発達しているという点もあると思います。いわゆる性能が向上しているようでありますが、この点について、一律にこれを取り締まりの対象にするというのがなかなか難しいようであります。
 一方、電気脱毛についてはいろいろ消費者から健康被害の苦情が寄せられております。この健康被害を減少させるためには、特に悪質なものについては医師法違反で取り締まることができると思いますが、今後は業界による自主的な取り組みによって技術水準の向上と営業の適切、妥当が図られるよう、厚生省としても指導をしていく必要があるのではないかというふうに感じております。この点については、よく消費者にも理解してもらう、そして業界にもきちんとした対応をとってもらうような指導が必要だと私は考えております。