日本人男性は溜めて濃い精液を射精する


2006年5月31日3時4分 読売新聞に以下のような記事があった。


http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060531i101.htm

精子の数、日本男性が最下位…日欧共同研究
 日本人男性の精子数は、フィンランドの男性の精子数の約3分の2しかないなど、調査した欧州4か国・地域よりも少ないことが、日欧の国際共同研究でわかり、英専門誌と日本医師会誌5月号に発表した。

 環境ホルモンが生殖能力にどう影響するか調べるのが目的。精巣がんが増えているデンマークの研究者が提唱し、日本から聖マリアンナ医大の岩本晃明教授(泌尿器科)らが参加した。神奈川県内の病院を訪れた、20〜44歳の日本人男性324人(平均年齢32.5歳)の精液を採取した。
 年齢などの条件は各国でそろえ、禁欲期間の長さの違いによる影響が出ないよう補正して、各国男性の精子数を統計的に比較した。
 日本人男性は他国の男性よりも禁欲期間が長く、日本人の精子数を100とすると、フィンランドが147、スコットランド128、フランス110、デンマーク104で、日本が最低だった。
 ただ、環境ホルモンの関与が疑われる精巣がんや生殖器の異常の発生率は、日本人男性では非常に低く、研究チームは「精子数の違いは栄養や生活習慣、人種差などが関係しているのではないか」としている。
(2006年5月31日3時4分 読売新聞)


で、早速、
日本医師会雑誌第135巻第2号329-335
生殖能力のある日本人男性の精子数―国際共同研究による精液検査の諸問題
 岩本 晃明・野澤資亜利
http://www.med.or.jp/cme/jjma/newmag/13502/13502con.html


を読む。
そうするといくつかの興味深い事実がわかった。
まず、対象は、一般男性ではなく「妻が妊娠中の男性」。
つまり、それだけで結構ある意味、精子的には能力が高いグループ。
精子的に能力の低い人が人口比どのくらいいるかを考慮しないと国際間の比較としては不十分かも。


で、生のデータだと日本人の精子濃度平均はヨーロッパ4都市より、濃い。
ところが、日本人は精子採取まで禁欲時間が1番長い。


ちなみに各都市の禁欲時間(平均値/中央値)
日本:208/134時間
コペンハーゲン:81/64時間
ツルク:109/70時間
エジンバラ:156/82時間
パリ:157/96時間


平均値と中央値の値が大きくずれるのは「妊娠中なので、何ヶ月も射精していません」というのが少数でもいれば、平均値とすれば、大幅アップするのだろう。


しかし、妊娠中の禁欲時間というのもよく考えると謎。
妊娠中でも4日おきぐらいに、がんがんセックスをするということか。
それともオナニーの頻度か。


それはともかく。
で、興味深いのは、日本人の精子濃度というのは、9日目ぐらいまでは、禁欲すればするほど濃くなるらしい。
それに対して、ヨーロッパ男性では4日目以上は濃さは頭打ちになるらしい。


で、この論文の結論としては、日本人は禁欲時間が長いので、その分、考慮して、ヨーロッパ並みの禁欲時間と考えて計算したら、日本人の精子濃度がうすかったという話。
ちなみに、読売新聞中の「精子数」とは、「精子濃度」がより正確な表現。
「総精子数」は別にデータが出ている。


感想としては、日本人男性は、ためて濃くして出す、という戦略のようなので、それはそれであり、かと思うのだが。
セックスの回数が少ないのも、濃くして出すためかもしれない。


最後、日本人男性(妊婦配偶者)324名の精液検査結果平均値。


精液量:3.8ml(小さじ一杯?)
精子濃度:125000000(1億2500万)/ml(日本の人口?)
精子数:380000000(3億8000万)(計算あってないけど・・・引用のママで。)
精子運動率:56%
正常形態率:44%