乳房文化研究会


20005.6.4.乳房文化研究会の詳細。
ブログでは以下が詳しい。


続・たそがれ日記
http://plaza.rakuten.co.jp/junko23/diary/200506040000/

maria
http://nonpass.de-blog.jp/maria/2005/06/post_2b8b.html


以下は新聞記事。


朝日新聞大阪版 2005.6.10.朝刊
厳しい要件 募る不満
性同一性障害法施行1年シンポ
同性愛者と連帯探る声も 


 心と体の性が一致しない性同一性障害GID)の人の性別変更を認める「性同一性障害特例法」の施行から7月で1年を迎えるのを前に、GID当事者や同性愛者、学識者らを集めたシンポジウム「性の多様性とこれからの日本社会」 (乳房文化研究会主催)が京都市内であった。特例法で性別変更を認めた6要件に関する声が出て課題が浮き彫りになったほか、同性愛者との「連帯運動」の呼びかけもあった。GIDについて皆さんも考えてほしい。 (永田豊陸)

 
 GIDは全国に数千人いるとされる。市民団体の調査によると、法施行から昨年11月下旬までに、少なくとも52人が性別変更した。
 GIDで男性へ性別変更した作家、虎井まさ衛さんは、このシンポで同法をこう評価した。「法律ができたことで、自治体がGIDを人権問題としてとらえるようになったし、10代のGIDの子らが学校での悩みをより相談しやすくなった」


 要件のうち、子供がいないことが性別変更の前提とされた④=キーワード参照=について、大島俊之・神戸学院大法科大学院教授(民法)は「重大な欠点」と指摘した。
 当事者の中には、自分の性に違和感を持ちながらも子供をもうけた人がおり、要件に不満を持ちながら、あえて性別変更を申し立てる人も出ている。大島教授は「国は『子供のために、父が女性(母が男性)という状態を避ける』と説明しているが、父が女性(母が男性)として暮らしている現実を受け入れるべきだ」と批判した。
 性別変更するには、卵巣や精巣といった内性器の機能をなくす手術(要件⑤)だけでなく、ペニスやワギナといった外性器を希望の性に合わせる手術も受けなければならない(要件⑥)。
 要件⑥には、「戸簿上の男(女)が妊娠する(させる)」という法の想定外の可能性を避ける狙いがあるとされる。しかし、外性器まで変えるとなると手術は数百万円かかり、そこまでは望まないGIDも多いという。 虎井さんは「内性器の手術は必要だが、外性器は必要ない」と疑問を呈した。

  
 独身を要件とした③についても、一部の当事者から改善を求める意見がある。
 ただ、既婚者が性別変更すると、現行法が想定していない同性同士の結婚状態が生じるため、GIDの間でも意見は分かれているという。
 大島教授は「現行法では、独身の要件は必要」と述べたうえで、「将来、同性婚が容認されれば、この要件は不要になる。GID当事者と同性愛者が連帯して、まずは同性婚容認を目指すべきだ」と提言した。
 これに対し、「異なる性的マイノリティー同士が一緒に運動した例はあまりない」と連帯の難しさを指摘する見方もあった。 だが、虎井さんは「まずは『子供』や『外観』要件の改善を目指すが、独身の要件も本来はない方がいい。同性愛者との連帯に希望を持ちたい」と強調、同性愛者でジエンダー論研究者の溝口彰子さんも「当事者だけの運動は効果的ではない」と理解を示した。
 オランダでは85年、GIDの性別変更を認めた際、日本と同様に独身を要件とした。しかし、01年、同性愛者らの強い運動で同性婚が認められた際、合わせて要件の削除に踏み切った。
 コーディネーターを務めた北山晴一・立教大大学院教授(身体社会学など)は「少数者の運動が社会全体の幸福につながることが大事だ。独身要件の問題は、GIDと同性愛者が連帯するきっかけになりうる」と期待を込めた。


キーワード
性同一性障害特例法
性同一性障害を理由とする性別変更を家裁が一定の要件で認めることを定めている。認める要件は、①2人の専門医の診断が一致②20歳以上③現在、結婚をしていない④現在、子供がいない⑤生殖能力がない⑥変更後の性別の性器の部分に近似する外観を備えている―の6点。