Watch!:「トランスジェンダー」って? 性の揺らぎ「虹色」の人々 /大阪

http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/osaka/archive/news/2007/04/26/20070426ddlk27040003000c.html

Watch!:「トランスジェンダー」って? 性の揺らぎ「虹色」の人々 /大阪
 ◇性的少数者、理解向上と仲間へのエール込め本出版
 「トランスがわかりません!−ゆらぎのセクシュアリティ考」(アットワークス刊、税別1600円)という本が今年3月、出版された。表紙のかわいい絵柄から優しい教養本かと思ったら大間違い。自分の体への複雑な思いや、揺れ動く性的感覚について、心と体の性の不一致などに悩む性的少数者本人が赤裸々に語っている。本に登場する2人に会い「性の揺らぎ」とはどんなものか聞いてみた。【福田隆】
 ◇「納得すれば生きやすくなる」
 トランスとは「トランスジェンダー」の略で、大多数の男性や女性とは異なり「体は女なのに、女らしく生きるのは耐えられない」など、性が揺らいだ状態のこと。性同一性障害もその一つだが、あまりに複雑・多様で、明確に分類できないことが多い。
 4月中旬、本の中で経験を告白した2人に会った。著者代表の一人で、ジェンダー論を研究する京都市の大学院生、今将人(いままさと)さん=30代前半、仮名=と、大阪市の会社員で「関西クィア映画祭」スタッフ、るぱん4性さん=20代、同。性的少数者は好奇な目で見られ、ネット上で集中攻撃を受けることが少なくないため、紙面では匿名とした。
 2人とも外見上は「女性」だが、内実はとても複雑で、図を書いて説明してくれた。体(性器など)▽心(志向など)▽社会的(振る舞いや周囲の認知)▽好きな相手−−という四つの物差しがありそれぞれの両端が「男」「女」となっている。それらは年月とともに変わることもあるという。2人は図に書き込みながら、明るく語ってくれた。
 るぱんさんは、体は女、心は男、社会的には「どちらでもなく」、好きな相手は「どちらかといえば女」だ。中学2年の時、胸が大きくなり「なんだこの腫瘍(しゅよう)は」と戸惑った。毎朝「今日も女子をするぞ」と言い聞かせてスカートをはいた。本当はもっと自分らしく振舞いたかったが「いじめられるので、ボーイッシュな女の子に留めていた」。18歳で親に「おれは男として生きていく」と告白。99年、同じ悩みを持つ人々と出会い「揺らぎは揺らぎとして受け入れていいんだ」「性別は女と男だけじゃなくていろいろあるんだ」と知り、楽になった。近年、手術で胸のふくらみを除去した。
 今さんは、体は女、心は男でも女でもなく、社会的にはやや女、好きな相手は「男の姿をした人(性器の種類は不問)」だが、2年程前までは心と社会的物差しはまさしく「男」で、丸刈りの男っぽい姿で過ごしていた。
 2人は今回の出版に、社会の性的少数者への理解向上への期待と、孤立して苦しんでいる当事者へのエールを込めている。「社会にはいろんな性の人が混ざっている。私には、街の人々が白黒はっきりした性別ではなく『虹色』に見えます」とるぱんさん。今さんも「男(女)らしくし過ぎることで、自分を苦しめていませんか? 最初は戸惑うかもしれませんが、自分の性の揺らぎに納得すれば、生きやすくなります」と話している。
 本の問い合わせは、アットワークス(06・6920・8626)。
毎日新聞 2007年4月26日

トランスがわかりません!! ゆらぎのセクシュアリティ考

トランスがわかりません!! ゆらぎのセクシュアリティ考