トランスがわかりません!! ゆらぎのセクシュアリティ考

「トランスがわかりません!! ゆらぎのセクシュアリティ考」拝読。
ROS様の本。
http://ros2004.com/index2.htm


私が、ヤブなせいもあるのだが。
医療現場で語られる「性別違和」というものは、えてして通り一辺倒で、ありがちなフレーズの繰り返しになりがちだ。
あるいは、世の中で流布される「性同一性障害者体験談」というのも、パターン化に陥りやすい。


ところがこの本は違う。
別に診断目的で語られているものでもなく、社会的アピールのためでもない。
文章こそ面白くわかりやすいが、非常に真摯に自分のセクシュアリティや身体と向かい合い、その率直なところ、本音のところが赤裸々に語られている。
そこで語られるセクシュアリティは実に多様で深い。


一連の「まんこ独り語り」は迫力満点だし。
あるいは、「ゆるぎないジェンダーアイデンティティ」でなく「ゆらいでいく性」をそれぞれが正直に語っている。


また、抽象論、学問的な話ではなく、それぞれの執筆者が自己のことを語っているのも好感が持てる。
それに、結論を押し付けるのでなく、あーだこうーだと悩み続ける感じも、素晴らしい。


以下、思いつくまま。

・るぱん4性さんのナルシスティックな写真:素敵です。
・瑞恵さんのセクシュアリティ:そう来たかあ…。
・たかぎさん、「女からFTMになったけれど途中で辞めたワタシ」:タイトルに笑う。
>私はいつでも、私に正直でありたいし、一番正直な私を探している。:この本で一番印象に残った言葉。
・漫画:シュールで笑える。


というわけで、全体としては、医療化された「性同一性障害」がそぎ落としていってしまった、本音のセクシュアリティが満載に語られていて、エンパワーされる本です。

トランスがわかりません!! ゆらぎのセクシュアリティ考

トランスがわかりません!! ゆらぎのセクシュアリティ考