歌会始

歌会始
皇室のかたがたの心象風景に思いを寄せる。


天皇陛下
務め終へ歩み速めて帰るみち月の光は白く照らせり
皇后さま
年ごとに月の在りどを確かむる歳旦祭に君を送りて


天皇陛下が務めからの帰りを詠み、皇后陛下天皇陛下が務めに出かける姿を詠む、その呼吸はさすがとしかいいようがない。


皇太子妃雅子さま
月見たしといふ幼な子の手をとりて出でたる庭に月あかくさす
秋篠宮紀子さま
月てらす夜半の病舎にいとけなき子らの命を人らまもれり


紀子様が入院中の子どもを看護する医師・看護師を詠む一方で、雅子様がもっぱら自分と子どものことを詠むのも好対照。


皇太子さま
降りそそぐ月の光に照らされて雪の原野の木むら浮かびく
秋篠宮さま
モンゴルを走る列車の車窓より見えし満月大地照らせり


皇太子様の歌は、寂寥感漂うのが気になるところだが、秋篠宮様の歌は豪快。

「モンゴル」「満月」「大地」とスケールの大きな言葉続き、男子を産み、皇室の務めを果たした誇りと自信に満ちている。


ただ残念なのは、恋の歌の名手、黒田清子様(紀宮様)の歌がないこと。
皇室から離れると、歌会始には参加できないのか。残念。