性同一性障害無戸籍児問題 「集団提訴も検討」

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神戸新聞
性同一性障害無戸籍児問題 「集団提訴も検討」 

性同一性障害者の子どもへの国の対応を「明らかな差別」と訴える夫婦ら(手前背中)=東京・永田町、衆院第2議員会館

 性同一性障害者が第三者精子による人工授精でもうけた子を無戸籍とされている問題で、当事者の会社員前田良さん(28)=大阪府東大阪市=らが16日、法務省を訪れ、期限を決めて対応策を示すよう要請した。その後の会見では「同じ立場の人たちと相談し、裁判についても考えたい」と集団提訴を検討していることを明らかにした。

 同様のケースで生後1カ月の子が無戸籍となっている関東在住の男性、妻が妊娠中の神奈川県の夫婦とともに要望。同省から前向きな回答はなかったが、性同一性障害者が非配偶者間人工授精(AID)で子をもうけ、出生届を出したケースが少なくとも13例あることが明らかにされた。

 前田さんは特例法に基づいて戸籍上の性別を女性から男性に変更し、結婚。昨年11月に男児が生まれたが、出身地の宍粟市役所は法務省の指導で嫡出子と認めず、男児の無戸籍状態が1年以上続いている。夫が生来の男性の場合は、AIDで生まれた子も嫡出子として出生届が受理されており、前田さんらは「性同一性障害だけを差別している」と法務省などに改善を求めてきた。

 関東在住の男性は「当たり前のことを望んでいるだけ。普通の夫婦のAIDと対応が違うのは矛盾している」と訴えた。

(磯辺康子)