続き。
性指向が、ジェンダー・アイデンティティの構成要素であるならば、
その逆に、
ジェンダー・アイデンティティが性指向の構成要素ともいえる。
つまり、
性指向の構成要素には
「中核的性指向」や「ジェンダー・アイデンティティ」などがある。
具体的には、
*がちがちのヘテロ男性、ヘテロトランス男性
「もともと女好き」(中核的性指向)
「男らしく、いい女をゲットして連れ歩くぜい」(ジェンダー・アイデンティティ)
「おらおら、めっちゃ女好きだぜいい」(性指向)
*悩めるゲイ男性
「女は好きになれないし、男が好きなんだが・・」(中核的性指向)
「男なのに男が好きになるのはおかしいなあ」(ジェンダー・アイデンティティ)
「でもやはり男が好きなんだろうなあ…」(性指向)
*いまどきのポリセクシュアル
「男性好きだけど、女性好きになることもあるし、トランスを好きになることもあるし・・」(中核的性指向)
「男らしさ、女らしさにとらわれるなんて間違っている・・」(ジェンダー・アイデンティティ)
「わたしは、相手を好きになる性別なんかは関係ない」(性指向)
*一部の女装者
「今日は男性だから、女性が好き」
「今日は女の子だから、男性に声をかけてほしいな…」
といった感じで、ジェンダー・アイデンティティは性指向の形成に影響を与えうる。
なので、ジェンダー・アイデンティティと性指向は、どちらかが上位概念でもなく、包含関係にでもなく、別個のものだが、相互に影響を及ぼしあうといえるのでは。
これまで、ジェンダー・アイデンティティと性指向は、違うものであることを強調するあまり、相互の関係についてあまり議論されていなかったのかも。